快く速い、大人向けの超フランス車
ヌバック調のシートはレーシーだが、見た目とは裏腹に座り心地も良好。そのテイストは
メガーヌ R.S.全体に通底している。アクセルやブレーキをベタ踏みしても、やや強引にステアリングを切っても、運転しながら普通に助手席と会話が続けられた。その日は箱根界隈で試乗。大観山から湯河原へと至る、ややタイトな椿ラインの下りでペースを上げても、車内に緊張が走ることはない。FFのネガすらルノー・スポールの美学をもって抑えられている。
ル・マンやボルドールでの24hや、パリ-ダカール ラリーなど、耐久レースはフランス人の大好物。生粋のロング・ディスタンス・ラバーなのだ。
私見を挟めば、フランス人ドライバーはえてしてブレーキが遅い。オートルートのカーブでもぎりぎりまで車速を落とさない。刹那的なその瞬間ではなく、目的地までの早さ(と燃費)を重視する。そんな文法上にこの
メガーヌ R.S.もあり、紛うかたなき超フランス車だ。瞬速ではなく快速(快適で速い)で、その速さはクルマ遍歴を重ねた大人向け、いかにも玄人好みである。
3/3