30歳を過ぎ、“食”を学びに高知へ。大豆の奥深さに心惹かれた
ホテルのコックやバーテンダーなど、飲食店で働き続けてきた安藤さんが食への意識を変えた背景には、これまで暴飲暴食を続けていたツケがまわり、体を壊したことが大きかったという。
「20代後半で身体を壊したこともあって、改めて食と生について考えるようになりました。やっぱり食べるものを変えると、身体の調子が全然違うんですよね。それで自然食品に興味を持ち、マクロビオティックの学校にも通いました」。
その後、高知県の四万十川の上流、西土佐という地域の山にこもって農業研修を受け、タンパク質が豊富で、味噌や醤油、おから、豆乳などさまざまな食品に形を変える大豆の優秀さに気付いたという。
日本人にとって身近な食材である「大豆」と、そこからできる「豆腐」でなにかできないか。そう考えた安藤さんは高知県の豆腐屋に弟子入りし、石臼豆腐のつくり方を学んだ。
「3年間の豆腐修行の後は、食の勉強のためにニュージーランドやインドへ飛びました。ヨガ施設で住み込みスタッフとして料理を作ったり掃除をしたり。同じレシピでも他の国のスタッフが作るとまったく味が変わったりするので、面白かった」。
同僚のイタリア人がピザを作ってくれれば、そのお返しに豆腐を作って出してみる。さまざまな人種、国籍が入り乱れるなかで異国の食文化に触れる貴重な時間を過ごした。特にインドでは日本のお坊さんと1週間旅を共にするなど、自身を内観する機会も多かった。
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