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遊び心あふれる握りの数々。まさに至福の時間がここにある

そしていよいよ握りを堪能。まず出てきたのはアオリイカだ。こまやかな包丁仕事を施されたイカが透き通るように白く輝いている。キャビアの塩分だけでいただくアオリイカは、軽く絞ったすだちの爽やかな風味が絶妙なアクセントとなって、食欲を刺激する。

感動に震えた後は、驚きのネタが続く。しめた後に8日間ほど寝かせた佐島のカンパチだ。ネタの上には素材の風味をより生かす煎り酒がさっと塗られている。

「新鮮なネタではなく、寝かせて熟成させたネタが、ここ熱海で受け入れられるかどうか。そこは課題ですね。でも、うちにはうちのやり方がある。挑戦しているというとかっこいいですけど、遊んでいるんです(笑)」。
芹澤さんの「遊び」は、続く。
まだ試作段階だという車海老の握りも、斬新な一貫だ。

「レアにボイルした車海老を、フランス料理で使われるアメリケーヌソースのように海老の頭と尻尾の部分を潰した出汁に、漬け込んでいます。あたたかい状態の海老に味がしっかり染み込むように」。
ぷりぷりの身は柔らかく、口の中でほぐれる。寿司を洋風に味付けるというアイディアも新鮮だ。

熱海産のアジも、身がしまっていて美味い。アサツキをペースト状にして生姜の絞り汁を入れたという薬味が効いている。この薬味は、ニンニクやニラに近い風味を出せるのだという。

カツオの藁焼きには玉ねぎ醤油をかけて。このタレによって、カツオの香ばしさが一層旨味を増していた。通常より厚めに切ることでマグロ感を味わってもらいたいという大トロは、筋の部分を切った「はがし」にすることで、しつこさがなくなり何個でも食べられそうだ。

そして北海道のバフンウニをこれでもかと乗せた軍艦巻き。ウニはこれだけで終わらず、よりフレッシュさが強調されたムラサキウニ、さらに今の時期限定の赤ウニという豪華さだった。まるでウニの食べ比べをしているかのようで、これぞ大人の愉しみだろう。


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