暦の上では既に秋を迎えてはいるものの、厳しい残暑に見舞われてもいるこの季節。
どうしても薄着になり、コーディネートが簡素になったり、無難になったりしてしまう。それをいたし方なしと諦める前に、ぜひともアートの力に目を向けて欲しい。
軽装だからこそ選びたい“ウェアラブルアート”
アートの力は強い。伝統や慣習を常に更新する原動力そのもので、装いのマンネリにもそれは効果抜群。岡本太郎の言葉を借りるまでもない。着用点数の少ない夏だからこそ、その爆発力を味方に!
アートに対する造詣の深いヒステリックグラマー。そのロゴをグラフィティ調に描いたのは、なんと数々のブランドとタッグを組んできたストリートアートの巨匠、ケヴィン・ライオンズ!
生きていることがアートのような想像力の塊、ポールさん。自身が好きな写真をレイアウトした白シャツは、バラとさくらんぼをアシンメトリーに配置。
アンディ・ウォーホルのアートワークとのコラボレーションラインより。1977年に撮影された本人のポートレートを大胆にプリント。ゆったりとしたシルエットからもモードの薫りが漂う。
写真家ジャネット・ベックマンが撮影したキース・ヘリングのポートレート。そこに、NYのグラフィティアーティスト、セイ・アダムスが作品を乗せる。こんな三つ巴があるなんて!
“生きるアート”がアートウォッチに!?
ダリが宇宙飛行士に!? 生前から“生きるアート”とも呼ばれた御仁だが、まさか後世にこんな形でアートウォッチに収まることを想像しただろうか。
スイス生まれのコルムの新作「ビッグバブル 52 マジカル」である。
ダイヤルはカナダ出身で女優やモデルの経験もあるアーティスト、エリザベッタ・ファントンの作品をプリント。モデル名にある“バブル”の由来である半球状クリスタル風防がレンズ効果を発揮し、ダイヤル上のダリ飛行士がゆらゆら幻想的に映る。
針はダイヤルの裏側に仕込み、アートを「見せる」作りに。こりゃ、だりでも着けたくなるわ……。
印象的でお洒落。アートを身に纏うことで得られるポジティブな要素はたくさんある。これなら周囲に埋もれることはないし、軽装でも存分にファッションを楽しめるはずだ。
清水健吾=写真 柴山陽平=スタイリング