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2018.08.16

かぞく

妻は最高のビジネスパートナー。魚屋夫婦ユニットが円満でいられるワケ


十人十色の夫婦関係 Vol.6
夫婦のカタチは人それぞれ。その数だけ、異なる幸せがある。たとえ一般的なスタイルと一線を画すものであっても、当人たちが納得していればそれでいいのだ。当連載では、ステレオタイプな「理想の家族」の型にはまらず、独自のスタイルを持つ夫婦を取材。異色ながらも円満な結婚生活を通じ、多様な幸せの在り方を探る。
「十人十色の夫婦関係」をはじめから読む
今回お話を伺ったのは結婚4年目の浅井さん夫妻。夫婦であり、ビジネスパートナーでもあるふたり。3年前に「魚屋あさい」を立ち上げ、鮮魚ケータリングや解体ショー、市場ツアーなど、魚を通じて新たな価値を提供する活動を行っている。
公私ともにパートナーという関係は、一長一短があるようにも思える。仕事上の苦楽が絆を深めることもあれば、逆にいさかいを生むこともあるだろう。ふたりの場合はどうなのか? ご夫婦に話を聞いた。
 

妻の行動が生んだ、型破りな魚屋


実店舗を持たない「魚屋あさい」。注文を受けると旬の鮮魚を携え出張し、その場でさばいて提供する。一般家庭だけでなく、イベントや企業のパーティーへのデリバリーも多いという。妻・有美さんは企画やマネジメントを担い、夫・和浩さんが魚の仕入れや出張・調理を引き受ける、新しいタイプの「魚屋夫婦ユニット」である。
元々は別々の仕事をしていた夫婦。“協業”のきっかけは、有美さんの育休だった。

有美さん「3年前の4月に第一子を出産し、そのまま育休に入りました。一方で、夫は会社員をしながら副業として週末に今の仕事の前身となるような活動、友人宅に魚を持ち込んでケータリングをしたり、魚の捌き方を教えたり、活発に働いていて……。そんな夫を応援したいけど、私は仕事を中断して育児に専念していたこともあり、少しモヤモヤしてしまったんです。これは不公平なんじゃないかと、ネガティブな感情が芽生えてしまった……」。
有美さんは当時、PR・イベントディレクターとしてモーターショーやサミットの企画・運営などを担当。それまでバリバリ働いていた分、余計に鬱屈した思いが募ってしまったようだ。
そこで有美さんは思い立つ。夫の副業をサポートし、自分も積極的にコミットすることで“自分事化”しようと考えたのだ。
有美さん「夫がやっていることに自分も積極的に絡んでいかないと、そのうち応援できなくなるんじゃないかと。それは嫌だったんです」。
和浩さん「ある日帰宅したら、妻がいきなり『魚屋のホームぺージ作ったよ』って。それも適当なやつじゃなくて、すごくかっこいいんですよ。もう、ただただ感激しました」。
魚屋あさいのウェブページ。映像、写真をふんだんに使った美しいページとなっている。
このことをきっかけに、夫の副業は徐々に夫婦で取り組む「本業」へとシフトしていったという。

和浩さん「私自身、この副業をもう少し商売として広げていきたい気持ちもありましたし、夫婦でそんな話もしていたのですが、当時はなかなか踏み切れませんでした。でも、ホームページができ、さらには妻の働きかけによって少しずつ法人の案件なども入るようになって、事業化が見えてきた。そこで、2017年1月に会社を辞め、妻と一緒に魚屋一本でやっていくことにしたんです」。
ビジネスの面で同じ方向に視点が定まると、家庭にもいい影響が出た。夫の家事や育児に対する考え方、行動が大きく変わったというのだ。
和浩さん「それまではどこか『手伝う』という意識があり、実際にそういう言い方、やり方をしていたと思います。夫婦とも無意識に、基本的には妻がやるものという感覚だったんじゃないかと。でも、一緒に魚屋をやるようになると、お互いの力を最大限に発揮するためにも家事や育児はフェアじゃないといけない。そう実感できるようになりました」。
有美さん「彼は律儀な人だから、誰かに何かをやってもらったら返したいという気持ちを持っていると思うんですよね。ホームページを作ってくれた、じゃあ自分も何か相手のためになることをしようと。そういう、いい意味でのギブアンドテイクみたいなものが、ホームページの一件から自然と生まれていったような気がします」。


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