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入り口の扉を開けると、平日の午後6時にも関わらずカウンターはほぼ満席。名店の証である。
カウンターの中には鉢巻を巻いた女性スタッフ。
彼女こそが、看板娘の僚子さん(31歳)だ。好きなお酒を聞くと即答で「ビールです」。さっそく、オススメをいただいた。
「酒米ビール兵庫山田錦」(800円)。
兵庫県発祥の最高級米として知られる「山田錦」で作ったビールで、苦みを抑えた軽い飲み口だという。
「最初の一杯にはちょうどいいと思いますよ。ほのかに香るお米っぽさも最高です」
あれっ、お酌までしてくれるんですか?
「手が空いているときだけですけど」。
明石ブルワリー(兵庫県明石市)の看板商品。
うん、美味しい。「お粥状にした米を入れた麦汁にホップを控えめに加えて発酵」という製法らしいが、確かに食前酒にはぴったりだ。
ちなみに、僚子さんは一風変わった経歴を持つ。東京・板橋区出身で中高はバスケ部、大学時代はサッカー部のMFというスポーツガールなのだ。
「イニエスタが好きなので、今回のW杯はスペインを応援していました。体育の先生になろうと思って都内の公立高校を受けたんですが、体育は倍率が高くて無理でしたね」。
大学時代の写真(下段、左から2番目が僚子さん)。
大学卒業後はずっと飲食系の仕事。オーナーの通称“寅さん”とは長い付き合いで、ここ「寅箱」では2017年5月のオープン時から働いている。
「池袋にある本店『和galico寅』の売りはジビエ。その食材を仕入れている業者さんが鰻も扱えると知って、『鰻とジビエ』という不思議な取り合わせになりました。店の形も奥に長いから鰻っぽいよねって」。
では、まず鰻をいただきましょう。
「うな串の皿」(850円)を注文。
僚子さんは、おもに焼き場担当である。


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