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中学受験は合否が出たら終わりじゃない

中学受験が終われば、抜毛症も治ると思っていた。しかし、大学生になったいまも、息子の頭髪は完全には戻らない。
「中学受験は合否の結果がすべてじゃない」「中学受験は、入試本番で終わりじゃない」。そんな言葉は何度も聞いた。きれい事だと思っていた。しかしその意味が、中学受験を終えて時間が経つにつれ、心にしみてきた。
息子の中学受験を終えたDさんは、自分の視野の狭さや未熟さを痛感し、もっとひとに優しい仕事をしたいと思うようになった。会社を辞め、福祉に関わるようになった。息子の中学受験が父親の人生を変えた。
中学受験には、親の未熟さをあぶり出すという残酷な一面もある。親自身に、自らの未熟さを素直に認める謙虚さと、自らを変える覚悟がないのなら、中学受験はやめておいたほうがいい。子供は親の未熟さまで背負い込めない。中学受験とは、親子で共に成長する機会なのである。
おおたとしまさ
「子供が“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子供と一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。中学受験を親子にとっていい経験にする方法、子育て夫婦のパートナーシップ、男性の育児・教育、無駄に叱らない子育てなどについて、執筆・講演を行う傍ら、新聞・雑誌へのコメント掲載、メディア出演にも対応している。著書は 『ルポ塾歴社会』、『追いつめる親』、『名門校とは何か?』など50冊以上。近著は『開成・灘・麻布・東大寺・武蔵は転ばせて伸ばす』 (祥伝社新書)

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