37.5歳から旅立つ、マネークエスト Vol.9
貯蓄の大切さと保険による備え、そして、株式投資の入門方法を手に入れた我々。こうなると、もう少し欲が出てくるのが人間というものだ。実は、資産運用という言葉を聞いたとき、最初に頭に浮かんだのは、“不動産投資”や“マンション経営”なる言葉。憧れの不労所得だ。しかし、不動産といえば初期投資額も桁外れのはず。普通のサラリーマンが手を出すことはできるのだろうか?
「37.5歳から旅立つ、マネークエスト」をはじめから読む子供時代にバブル崩壊以降の不況を経験したオーシャンズ世代。不動産投資と聞くと、安く土地を買って高く売る、売り時を間違えたら価格が大暴落なんてことを想像してしまうかもしれない。
まさに、ハイリスクハイリターンの「マネーRPG」における大ボスといってもいいだろう。普通のサラリーマンには縁遠い資産運用に感じてしまうが、不動産投資の賢者である、さくら事務所の創業者・長嶋修さんにいわせると、それは大きな勘違いだという。
不動産投資の勘違い。サラリーマンにこそ向いている
「資産運用のための不動産投資は、土地の売買益がメインではありません。ローンを組んでマンションなどの物件を購入。その賃料からローンの支払いや管理費、税金などを差し引いた金額を収益とします」(長嶋さん、以下同)
よって、むしろ「ミドルリスクミドルリターン」だという。
「物件価格は短期間で2倍や3倍になることはないので、大きく儲けられるわけではありません。その一方、家賃収入がいきなりゼロになるケースは少なく、一定の収益を安定的に得られます。それに、売却する場合も、そこまで値下がりするケースも稀。大儲けもしなければ大損もしない。つまり、ミドルリスクミドルリターンなんです」。
さらに長嶋さんは、「不動産投資は、サラリーマンにこそ向いています」と続ける。
「昔から、サラリーマン大家さんなんて言葉があるでしょう。購入して入居者が決まれば、毎日の手間は掛からない。物件選びと購入、家賃の設定やリノベーションの内容決定、入居者の審査、退去時のクリーニングなど、節目節目にだけ仕事をすればいいので、副業としてはピッタリです」。
不動産投資は、株や投資信託などと違い、自ら家賃を決めたり、誰に貸し出すかを決めたりするなど、コントロールできる部分が大きい。長嶋さんの言葉を借りると「投資というよりも事業に近い」のだ。
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