ハワイを100%遊ぶなら、オアフだけでなくマウイ島に飛ぶのも有効だ。なぜなら、手つかずの自然が残り、いい波が立ち、最高の風が吹くこの島は、多くのオーシャンスポーツの聖地ともいえるから。ゆえに、そこに集まる「海に魅せられた人々」のパフォーマンスを支えるクリエイターも世界中からやってくる。
そんな技術者たちが作った“海遊びの開発実験所”こそ、ここで紹介する「パウエラ・カナリー・センター」なのである。
1920年から’61年までパイナップルの加工工場として使われていたパウエラ・カナリー・センター。ここが現在のようなマウイのドリームファクトリー、ギアの開発センターとしての役割をスタートさせたのは、ダカインがこの場所を工場として使い始めたのが始まり。
ダカインのヒストリーもこの場所から始まった
通年でウインドサーフィンに適した風と波に恵まれるマウイに、世界中からトップライダーが集まるのは自然な流れである。
そんなライダーたちのためのハードなコンディションに耐え、なおかつ最高のパフォーマンスを発揮するボードやセイルを作る優秀な技術者が世界中から集まり、このカナリーを開発センターとして使うようになったのだ。
各メーカーのデザイナーたちがエポキシやカーボン、ケブラーなどの最新素材を用いて、新しいバキューム工法などを生み出していく。
カナリーの中で情報を共有し各々の技術力を高めていくことで、このマウイから世界のサーフ・インダストリーを変えてしまうような軽量で頑丈なサーフボード、ハイスピードでもキャビテーション(空洞現象)が起きないフィン、軽量で破れにくい素材を使ったセイルなどがのちにカイトサーフィンの開発に使われていくことになったり……。
この場所がなければ、もしかしたらここまでの遊び道具の進化はなかったかもしれない。
現在のパウエラ・カナリー・センターはウインドサーフィンの開発拠点としての役割は少なくなった。
しかし、マウイ島の主要サーフブランドが工場を構え、そのビルダーたちの飽くなき開発精神を受け支える場所として、またこの島の人々の飽くなき好奇心と遊び道具に対する高い欲求を満たす場所として存在しているのだ。
マウイ
高いクオリティで人気のマウイ・フィン・カンパニー。
Pauwela Cannery Center(パウエラ・カナリー・センター)
住所:375 W. Kuiaha Rd., Haiku Pauwela
www.pauwelacannery.com
Thomas Servais=写真 岡崎友子=コーディネイト 阿出川 潤=文