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2018.05.13

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吉田 羊「恋愛ベタな主人公を演じていたらプロフィール映画になりました」

知らなきゃ男が廃るが、知ってりゃ上がる。気にするべきは、顔のシワより脳のシワ。知的好奇心をあらゆる方向から刺激する、カルチャークロスインタビュー。
彼女は気配りの人だった。取材対応は丁寧で、すべての質問に真摯に答える。ときにユーモアを交え、自ら場の雰囲気を和ませた。
吉田羊●福岡県生まれ。女優。1997年デビュー。テレビドラマ『HERO』に女性検事役で出演してブレイク。以降、舞台、テレビ、映画と各方面で活躍。第39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、第58回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞するなど輝かしい道を歩む。 黒のワンピース3万7000円、赤のワンピース3万4000円/ともにルームエイト ブラック(オットデザイン 03-6804-9559)、ピアス8000円/ソコ(メゾン イエナ 03-5731-8841)
彼女は気配りの人だった。取材対応は丁寧で、すべての質問に真摯に答える。ときにユーモアを交え、自ら場の雰囲気を和ませた。
聞けば、この日のスケジュールはタイトそのもの。早朝から別件の撮影を行い、午後から場所を移して主演映画『ラブ×ドック』の取材をいくつも受けていた。すべての予定が終わったのは夜遅く。スタッフたちが「お疲れさまでした」と声を掛け合うなか、最後に彼女は「これをどうぞ」と、取材陣に自身がCM出演をしている柔軟剤を手渡した。
その気配りの良さは、どこまで素なのか。言葉は悪いが、人たらし。性別や年代を問わず、多くの人から羨望の眼差しを向けられる稀代の女優である理由の一端を見た気がした。
そう、吉田羊は稀代の女優である。毎日のようにその姿を見かけ、そのため“初めての単独主演”という言葉には違和感を覚えるほどだ。前評判には「抜群に面白い」という声が多いが、それもそのはず。吉田演じる主人公、恋に不器用なパティシエは、脚本・監督を務めた鈴木おさむが「吉田羊で恋愛映画を撮ろう」と描いたキャラクター。アラフォー女性の設定がリアルに被り、吉田自身も「わかる!」と思った部分が多くあったという。結果、彼女の魅力が溢れるラブコメディとなり、自身も「私のプロフィール映画みたいですね」と太鼓判を押す作品となった。
取材でさえ真摯な姿勢で臨むのだから、本作に限らず、生業となる役者業に対するプロ意識は強い。
「予定調和は好きではないので、相手役の方との絡みや監督の演出から偶発的に生まれる、生っぽいお芝居を大切にしています。やはり“想像力の持ち寄り”が演技を面白くさせますから。“このキャラクターはどのような言葉を使うだろうか”といった具合に、人物の背景へ想像力を巡らせることで、演じる役のリアリティは大きく変わってくるんです」。
凛とした語り口には、実績を積み重ねてきた役者としての自信が表れる。半面、恋愛に関する話になると、途端に弱々しい言葉が口をつくようになった。恋愛ではいつも自信が持てず、好きな人を前にすると何もできなくなるのだという。
「仕事を頑張ることで自分の居場所を確保したいと思ってきたので、これまでの私の人生において、恋愛の優先順位は低かったんです。だから恋愛ベタな主人公には『この人バカね』と思いながら、身につまされるシーンがたくさんありました」。
仕事第一。恋愛は二の次。人生の歩み方が似ている2人の距離はかなり近いのではないか。そう思うと、自然体で演じられる主人公に吉田の素が見えたような気がしてきた。

『ラブ×ドック』


監督・脚本:鈴木おさむ/出演:吉田羊、野村周平、大久保佳代子、成田凌、広末涼子(特別出演)、吉田鋼太郎(特別出演)、玉木宏ほか/配給:アスミック・エース/5月11日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほかにて全国ロードショー
http://lovedoc.asmik-ace.co.jp
恋愛ベタのパティシエ、剛田飛鳥(吉田羊)はアラフォーになっても一向に恋愛スキルが上がらず失敗続き。そんな彼女は、「遺伝子検査をすれば恋にまつわるすべてがわかる」という診療所“ラブドック”を知る。危険な恋愛を察知して回避できる薬を得た彼女は、はたして恋愛の達人になることができるのか……?
 
柏田テツヲ(KiKi inc.)=写真 梅山弘子(KiKi inc.)=スタイリスト paku☆chan(Three PEACE)=ヘアメイク


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