我々男たちが、「色」に対峙するとき、意識して構えると「派手色」、あるいは、考えなしに、いつもの「定番色」なんてことが多い。
そこで、色への視野を広げたい一心から、女性の意見を請うべく、スタイリスト大草直子さんを直撃。女性目線では男がステキに見えるのは意外な色だった。
「繊細な中間色、“トープ”を取り入れてみてください」
トープという色をご存知でしょうか。フランス語のモグラが語源なんですが、実際の色域はグレーとベージュの中間。曖昧色の、さらにその間という個性の弱い色だからこそ、着る人の内面が滲み出ます。同時に、この年齢ならではの白髪やドライな肌質にも似合うというメリットも。経験を重ねた大人を引き立ててくれるのです。
ライトなグレートーンにもしっくりくるトープカラー。しっかりと女性のレンガ色のような赤も引き立てている。「素材の上質さを引き出すという意味では、スエードは最適の存在です。ライトなトーンでまとめるとソフトな印象がアップ。話しかけやすい男性ってステキですよね」。
この色はトーンの明暗にレンジがあるのも特徴。明暗異なるトーンを揃えておけば、トープ同士を適当に合わせても似合ってくれ、効率的なワードローブが組めますね。また、レザーやカシミヤなど、素材の良し悪しがダイレクトに出やすいので、良いものほどトープの美しさが際立ちます。まさに上質を選べる大人の色といえます。
最後は、私の理想の男性観にも通じるのですが、女性を引き立ててくれる効果もあるんです。特に欧米では、男性は女性をエスコートする存在。女性を美しく見せる効果のある赤色系を、トープはグッと華やがせてくれるのです。逆に自己主張の強い色を使った男性のコーデは、女性の輝きを損ねてしまうことも。だから、このニュアンスカラーを選べる男性を素直にステキだなと思います。
トープカラーのボトムスに、ブライトな白ニットをオン。「誰にでも似合う色ですが、工夫を加えるなら、日焼け肌の方は明るい白を合わせると清潔感が増します。一方、色白の方は、やや濃度のあるコンクリートグレーなら引き締め効果も」。
教えてくれたのはこの人
スタイリスト 大草直子さん
フリーのエディター、スタイリストとしてさまざまな女性誌で活躍。ウェブ媒体「ミモレ」編集長も務める。最近は、婦人世代となり、若いときに選ばなかった色、黒が似合うようになったと気付き、目下お気に入り。