シンプルなコーディネイトなのに、どこかほかと違う洒落者たち。そんな彼らに、この春のカラーリングの「マイルール」を聞いてみた。
挿し色やアクセント使いといった“さりげない”色使いにこそ、装いの幅を広げるオシャレの神髄が隠されていたようだ。
マイルール #1「明るい色は、くすんだ色みのものをチョイスする」
シップス ジェット ブルー マーチャンダイザー
村松修一さん(39歳)
光沢のある生地感で遊びを利かせた玉虫色のコートを主役に、大人っぽいアメカジスタイルを披露してくれた村松さん。
「普段はベーシックカラーの服が多くて、今日のように明るい色を取り入れるのはまれ。だけど、オレンジもくすんだ色みのキャップを取り入れることでアースカラーの服にもよく馴染むんです」。
色の彩度をコントロールすることで、いつものアースカラーがこんなにも春らしくなるなんて!
DATA
キャップ:アドサム
コート:オーラリー
パンツ:エンジニアド ガーメンツ
好きな色:アースカラー
苦手な色:原色全般
マイルール #2「ブルーをひと工夫して取り入れ、年相応の装いに」
アーカイブ&スタイル 代表
坂田真彦さん(48歳)
「僕にとって、青は特別な色。ワークウェアでよく使われていたり、どこか男クサくて、なおかつ挑戦者のイメージがある。だからこそ、着ることで常にフレッシュな気持ちでいられるんです」。
そう話す坂田さんは、バックプリントやストライプシャツのチラ見せで青を巧みに取り入れている。
「年相応に見せたいこともあって、単色のアイテムは避け、ひと工夫して部分的に色を挿すように心がけています」。
DATA
ジャケット:ベルスタッフ×ソフネット
シャツ:ブルックス ブラザーズ
パンツ:リーバイス
好きな色:ブルー
苦手な色:オレンジ
マイルール #3「面積を細かく調整して、深みのある色をソリッドに」
フリープランナー/ブルーム&ブランチ ディレクター
柿本陽平さん(35歳)
ヨーロッパの古着が好きで、普段はダークトーンの服が多いという柿本さん。
「ソリッドに着こなしたいので、フワッと見える色は避けるようにしています。着こなしもすごく重要で、トップスに色をもってくる場合は、アウターの着方で色の面積を調整しています」。
風をはらんだときにチラッと見えるぐらいの加減が柿本さんのお気に入りなんだとか。ソックスで色をリンクさせているあたりも上級者の着こなしだ。
DATA
コート:バーグファベル
ニット:ジョン スメドレー
ソックス:フランネル
パンツ:フランネル
好きな色:ブラック、ネイビー、ブラウン
苦手な色:ピンク
マイルール #4「センスの良いデザインとしての色を楽しむ」
インターナショナルギャラリー ビームス バイヤー
関根陽介さん(44歳)
「今年はヨーロッパでもビビッドカラーなどの強い色が流行っていますが、自分は今日のような、服そのものに部分使いしてカラーを落とし込んだアイテムを選んで色を楽しんでいます」。
レイヤードで色を加えていくのではなく、あくまで服のデザインを吟味して、アイテムチョイスで色にこだわるのが関根さん流なんだとか。トレンドのウエストポーチもビビッドなオレンジを選び、腰回りにアクセントを添える。
DATA
ジャケット:ナイスネス
パーカ:タキャシ
パンツ:ヴェイパライズ
ウエストポーチ:マーティン ローズ
好きな色:ブラック、ネイビー、グレー
苦手な色:特になし
マイルール #5「大好きなブラックをユルく着るのが今の気分」
RHC ロンハーマン アシスタントバイヤー
江口大輔さん(36歳)
「長年、全身ブラックの格好が多かったんですが、この年になって気になり始めたのが、ユルい色。ベージュはその最たるもので、今日のポロシャツのように挿し込むと、ブラックがマイルドに見えるんです」。
そう語る江口さんは、ユルさを演出するべく、サイズと質感にもこだわった。ポロシャツはオーバーサイズでニット素材のものをチョイス。合わせるアイテムに気を配り、黒の優しさを引き出した。
DATA
コート:バルスター
ポロシャツ:RHC
パンツ:マイシンクス
好きな色:ブラック、ホワイト、グレー
苦手な色:レッド
マイルール #6「デニムのインディゴブルーには白が鉄板!」
デンハム・ジャパン リテールマネージャー
白澤 研さん(36歳)
自分にとってデニムは相棒のような存在だと語る白澤さん。
「長年デニムをはいてきて、インディゴカラーには絶対的に白が合うと思っています。いちばん男らしく、そして清潔感を感じる組み合わせなんです」。
また、春の着こなしには爽やかな印象を与える、淡い色みのデニムがマストなんだとか。カーキのMA-1で男らしさをプラスしながらも、レイヤードでうまく白を目立たせている。
DATA
ジャケット:デンハム
Tシャツ:デンハム
パンツ:デンハム
好きな色:ブラック、グレー、ネイビー、インディゴ
苦手な色:レッド
マイルール #7「スーツのカラールールをカジュアル服でも実践」
フリーランスデザイナー
大貫達正さん(37歳)
とても大胆に見える大貫さんの色使いだが、そこには緻密な計算が息づいている。
「僕のベースにあるのは、クラシックなスーツの着こなし。だから色で遊ぶ場合も、必ずそこで培ったルールに基づいています」。
そのポイントとなるのが小物使い。ハット、ベルト、シューズの3点をブラックで統一することで、膨張しやすいオレンジカラーのシャツを合わせても、すっきり引き締まって見せることができるんだとか。
DATA
ジャケット:ウエストオーバーオールズ
シャツ:ファンシーポニーランド
パンツ:ウエストオーバーオールズ
ハット:コミュニティ マーファ
靴:コブラロック
好きな色:キャメル、サックスブルー、オレンジ
苦手な色:レッド
マイルール #8「派手色は“柄”で加えると親近感が湧く」
アンフィル デザイナー
藤原将平さん(41歳)
「ここ数年は黒を着る機会が増えていますが、この春はいつもよりリラックスした雰囲気でまとめたい気分です」。
藤原さん自身が手掛けるアンフィルのシャツは、そんな気分を反映させた1着。
「このシャツは合わせやすいグレーをベースに、ブルーやオレンジをチェック柄で取り入れています。あまり馴染みのない派手色も、こうして柄で取り入れると、ぐっと親近感が湧きますよね」。
DATA
シャツ:アンフィル
パンツ:アンフィル
好きな色:特になし
苦手な色:特になし
マイルール #9「アースカラーの土臭さを挿し色で和らげる」
ボールドマン PRディレクター
宮本哲明さん(34歳)
「新品、古着に限らず、アースカラーの服をよく着ますが、野暮ったくならないように、必ずバランスを意識しながら色を選びます」。
アースカラー×イエローの色合わせは、お気に入りだというイエローの刺繍とボタンが付いた古着のジャケットから着想を得たものだ。
「挿し色の加減ひとつで着こなしの表情はだいぶ変わると思います。今日はイエローを効果的に取り入れることで土っぽさを和らげてみました」。
DATA
ジャケット:古着
パンツ:ニート
キャップ:フリーマンズ スポーティング クラブ
ソックス:ソブリン
好きな色:オリーブ、イエロー、オレンジ、レッド
苦手な色:特になし
マイルール #10「苦手な色。その克服への第一歩は足元から」
シーワーシー ドライ グッズ オーナー
相馬太河さん(36歳)
古着を取り入れることが多いという相馬さんの色使いは、奇をてらわない魅力がある。
「実はピンクが苦手で(笑)。でも、この春は挑戦してみようと思っていたんです。そこで、挿し色を取り入れやすいスニーカーなら、苦手な色も克服できるかなって思ったんです」。
そんな意図から選んだピンクカラーのヴァンズのオーセンティックは、デニムとベストマッチで、装いをより軽やかな印象に。
DATA
パーカ:シーワーシー ドライ グッズ
パンツ:クロ
スニーカー:ヴァンズ
好きな色:ブルー、イエロー、レッド
苦手な色:ピンク