主張がない? ジジくさい? コンサバ? もし、グレーにネガティブな印象を持っているなら、それは損というものだ。短所に思える特徴は魅力になりうる。
第1に、白と黒の間を取り持ち、モノトーンの世界に広がりをもたらす。明暗によって何色とも似合う無彩色に、主張がないわけではないのだ。第2に、クラシカルである。スーツ生地などに見る渋み、伝統の趣だ。ジジくさいに通じるが、重ねた年によく似合い、色気まで醸せる。第3は、スポーティである。スウェットの杢グレーやランニングシューズなどに頻出。時代を超えたタイムレスな風情は、コンサバとは裏表だ。
これらの魅力から、深みのある無彩色の世界へ飛び込もう。
40代が着こなしたい、グレーのライトトーン
超が付くほどライトトーンのカラーパレットで構成した、軽やかで華のあるグレースタイル。おまけにグレーの持つスポーティさをスウェットパンツで、クラシカルさをパーカのオーバープレイドに託しつつ、武骨なブーツでアウトドア方向へ。サックスのインナー、ミントグリーンのグラスコードの挿し色も淡く。僕らが味方にしたいグレーは決して地味なものではなく、華やかな魅力がある。
レトロスポーティを現代的に磨きをかけて
杢調のスウェットパーカにミッドテクスニーカーの組み合わせは、言ってみればヘリテージ的。そこに現代の付加価値を加えるべく選んだのが、2015年生まれという米・ニュージャージー州の新鋭ブランド、パターソン。そして、名作の最新版「M990v4」を繰り出すニューバランスだ。古き佳きアメリカンカルチャーを今に蘇らせるパーカのアートなロゴ使いや、高機能をUSAメイドで盛り込んだ名作の気概は、レトロを最先端にグッと引き上げるに十分。時代とともに磨かれていく、僕らの定番スタイルとして。
英国カジュアルの格好良さをグレーで味わう
バラクータG9はゴルフのためのジャケットだし、ポロシャツ&スラックスは、今なおターフのユニフォームでもある。だから、言うなればクラシカルスポーティ。その装いからは普遍的な英国カジュアルの品の良さ、格好良さが滲む。紳士服の原点、英国に敬意を表すように、節度あるグレーを主役にスタイリングした。
海好きが選ぶのはブルーばかりじゃない!
デニムはいつもはいているもの。近くにあったパーカにサッと袖を通して、玄関に転がるスニーカーに足を入れる。妻から急に用事を頼まれ、急いで外出する休日のひとコマ。そんなシーンで、一枚羽織るだけで、どこへでも出かけられるように折り目正しさを加えてくれるのが、ライトグレーのステンカラーコート。その色みのように軽やかな素材感で、コートをなびかせて颯爽と歩く姿もイイ感じ。
一点突破のコンクリートグレー
杢や柄のない、控えめでフラットなコンクリートグレーの一点投入。都会を象徴するようなコンクリートジャングルの色彩。これが、なかなか美しい。デニムをダークトンに抑えれば、ビッグシルエットを選んで面積を広く取ったシャツが光を受けて、しっかり主役のカラーになる。色気を加えるなら、首元にはライトトーンのパープルを挿すといい。
明と暗、光を操る達人のグレーグラデ
無彩色のトーンバランスのみで構成するグレーグラデーション。モノクロ写真のようなシャープさが引き立つ、究極のミニマリズムだ。スタイルが野暮ったく見えないのは、芯地のないアンコンジャケットとタックをダーツにしたテーパードパンツのモダンさ。その輪郭を淡いトーンのインナーとの落差で強調、同じく明るいレトロランナーとベレー帽で上下からライトアップ。隠し味にウォレットチェーンをキラリ。これにて光を操る上級コーデの完成だ。
押さえておきたい、グレーなアイテムたち
右上アウトドアブランドが手掛けるだけあってパターニングと機能性が優良なクライミングパンツ。高いストレッチ性を持つ素材感は、都会的なスタイリングにもぴったりハマる。
1万3000円/ザ・ノース・フェイス(ザ・ノース・フェイス スタンダード 03-5464-2831)
右下アメリカ生産にこだわるカットソーは、洗うほどに風合いが出る。明るいグレーのモックネックのロングTタイプは、ストリートにもジャケットのインナーにも幅広く使える。
6900円/グッドオン(ビーグッドカンパニー 03-3791-1847)
左上イタリアの名門サルトリアが作るセットアップ。一枚仕立てのジャケットに、イージーウエストのテーパードパンツ。ストレッチの効いたリラックス感も◎。
10万8000円/タリアトーレ(エストネーション 03-5159-7800)
左下フランスが誇る名門ニットメーカー、ルトロワの定番「アンリ」。上質素材だからなせる優しい風合いは素肌に触れると心地良さ倍増。羽織るだけで素敵に見える。
2万1000円/ルトロア(エリオポールメンズ銀座 03-3563-0455)