見た目や利便性はもちろん重要だ。でもその背景に驚きや感心をもたらすストーリーが潜んでいたら、余計に欲しくなるのがオッサンの性。
この両者を見てそれをさらに実感!?
意外なコラボ、と思いきや実は似た者同士なのかも
「アクアスキュータム×ヘリーハンセン」のマリンジャケット
片やダンディな街男の外套、片やアクティブな海男のスポーツウェア。意外な両者の邂逅に思えるが、実は共通項がある。答えは「水」だ。ヘリーハンセンは言うに及ばず、アクアスキュータムは世界初の防水ウールで名を馳せた、老舗同士だからね。
ヘリーハンセンの定番ジャケット「オーシャンフレイ」をベースとしたコラボモデルは、海図柄をジャカードで表現した「ヘリーテック」素材をシェルとして、名門のクラブチェックやコラボロゴが随所に。防水・防風・透湿といった多機能で見事に「水」を制圧。かつての世界一周ヨットレースではそれぞれスポンサーとギアサプライヤーだった歴史もあると聞くと、さらに感慨は深まるな。
想像から創造した夢のようなサングラス
「ビッグヤンク フォー スティーブン アラン」のサングラス
見るからにヴィンテージ然とした佇まいに時代感のある箱。デッドストック? と思いきや、さにあらず。仕掛けたのは、ヴィンテージフリークが高じて、一度は閉じた名門ビッグヤンクを見事復活させたメーカー、サーティーファイブサマーズと、NYブランドのスティーブン アラン。
なんでも「もし、ビッグヤンクがサングラスを往時に作っていたら」という、想像をフルに働かせて仕上げたリアル感に驚く。しかも製造は、かの気鋭メガネブランド、アヤメが担当するこだわりよう。想像は創造につながるってことか。ふとそんなことを思わせるサングラスだ。
意外と思って紐解いていけば妙に納得したり、存在しなかったアイテムを想像により作ってみたり。こんな楽しいエピソードを聞けば、魅力的に見えるのは当然か。
中村利和(BOIL)=写真 松田有記=スタイリング