「使える服」とは定番服だけにあらず。服好きがこれから“いい関係”になれそうだと教えてくれた3つのワードローブを見れば、そのことがよーくわかるはず。
〜吉原 隆さん(54歳)のひと目惚れ〜
「カラー ビーコン」のチェックシャツ
「’80年代はプルオーバーシャツを着ていないとモテなかったんですよ」と笑いながら話す吉原さん。最近手に入れたカラー ビーコンのシャツは、鮮やかな3種のチェックをパッチワークしたプルオーバータイプだ。「パッチワークですけどクレイジーパターンとは違ってシンメトリーだから合わせやすいんです。アイビーやトラッドに通じる柄だから、オッサンでも抵抗なく着られますし、見た目の華やかさもいい。クラシックな表情と新しさを同時に味わえるのがうれしいですね。ちなみに、これはモテるために選んだわけではないですよ(笑)」。
ユニークな切り替えで仕上げたプルオーバーシャツ。さらりとしたコットン製で、素肌に着ても心地良い。「3段階のパッチワークというのがユニークだし、今っぽさも感じますね」。
吉原さんは、展開されている3サイズのなかから、あえていちばん大きなサイズをチョイスしている。「ジャストサイズだとオッサンが頑張ってる感じに見えちゃいそうで(笑)。ゆったりサイズでヌケた感じに着たくって」。細身のピケ素材のパンツとも好バランスだ。
「派手色のシャツを着るなら、足元にもヴィヴィッドカラーを持ってくるのがマイルール」と、コム デ ギャルソン オム・プリュスとナイキのコラボスニーカーを。ピンクが眩しい!
〜種市 暁さん(45歳)のひと目惚れ〜
「マインデニム」のデニムジャケット
連載
「種カジのタネあかし」も好評な種市さんの“ひと目惚れ”は、Gジャンみたいで、コートみたいで、デニムシャツみたいなこちら。
「サードタイプのトラッカージャケットの丈を、そのまま延ばしたみたいなデザインなんです。ハンドウォーマーも付いていて、腰部分のアジャストタブもそのまま裾に。見たときに何だコレ!と思って手に入れました。ドロップショルダーになっているんで、中にレイヤードしてもすっきり着られる。寒暖差がある今、まさに活躍中ですね」。
そして、ライトオンスなデニム生地ゆえインナーをTシャツにすればまだまだ着られるとか。「シャツ感覚で楽しめるので、最近“ひと目惚れ”からホントに好きになりました(笑)」。
〜尾崎雄飛さん(38歳)のひと目惚れ〜
「ラ・フェティッシュ」のコート
ティーンの頃、テーラードへの憧れからロンドンへ単身飛んだ過去を持つ尾崎さんは、スコットランドの老舗レインコート工場、トーマス・ハンコックのゴム引き生地をクレイジーパターンで仕立てたコートを新調。
「パリを拠点にする『ラ・フェティッシュ』というブランドなんですけど、ゴム引きをこんなふうにデザインするなんてまさにフェティッシュですよね(笑)。ゴム引きの生地を、伝統的な手作業の糊付けで防水加工し、ステンカラー型に。今季、メンズ仕様のアイテムは、世界でも名古屋のキンクという店舗でしか扱っていないんです」。
もともとトラッド好きな尾崎さんゆえに、歴史あるプロダクトを超モダンにしたアイテムは大好物。さらにこいつが優秀なのは……
「コレ、実はリバーシブルなんですよ。裏返すとネイビーになってめちゃくちゃ落ち着いた雰囲気に。この極端な2面性をトラッドな服に持たせるのがハイセンス。一気に『ラ・フェティッシュ』のファンになってしまいました(笑)。ジャケットに合わせてもいいし、Tシャツに羽織ってもいいし。どんなスタイルにも間違いなくマッチする。このコートとは長い付き合いになりそうです」
長谷川茂雄=取材・文