OCEANS

SHARE

2018.03.14

あそぶ

インドネシアの地で実感した、旅の醍醐味を稀代の冒険家が説く

今年は? はたまた今年も? とにかく「旅をしたい!」と心に秘めている人はきっと多い。そこでガイドマップを手にするのもいいが、旅の達人たちの声に耳を傾けてみるのも面白い。
人生の価値観を変える旅、創作意欲を掻き立てる旅、妻や子供と喜びを共有する旅。今回は、場所も目的も楽しみ方も異なる旅の達人たちによる旅先指南を全6回にわたり紹介する。
4回目の今回は、若い頃から海に憧れ、各地を旅する八幡 暁さんが伝える究極の旅。
>写真家・藤代冥砂さんが教える親子旅
>山根敏史さんが教えるアイルランド旅
>大橋菜央さんが教えるパートナーと訪れたい旅の宿
 

アドベンチャーを体験し“生きてる”を実感すべし!


シーカヤック冒険家
八幡 暁さん

1974年生まれ、東京都出身、沖縄県石垣島在住。冒険家。大学時代から海に魅了される。卒業後は国内外の海を目指して旅へ。その道中で出会ったシーカヤックが今の生活につながった。バシー海峡横断をはじめ、世界初となる航海記録を複数持つ。

夏から秋に日本を襲う台風。その多くが、フィリピン最北端に位置し、黒潮の源流域にあたるバタネス諸島で発生する。台湾との間にある島々で、内地には頑丈な石造りの家や、壊れても建て直せるシンプルな木造の家が並ぶ。
その街並みは、どこか自然の猛威と美しさが隣り合うことを示しているようだ。それでも平時には豊かな緑や海に囲まれ、島民たちは、文明の利器の少ない質素な生活を明るく営んでいる。


「何より海で日本とつながる人たちに興味がありました。僕の旅へのモチベーションはいまだ見ぬ人たちと、彼らの暮らしとの出会いですから」。
だから八幡さんの旅に、いわゆる絶景はない。

「バタネスの島々にあったのは、自然に寄り添う自給自足の日々でした。島に住む人が笑みを湛えて暮らす様子を見ると、質素な場所でも人は幸せに生きていけるんだと実感できます。彼らにとっての平凡な毎日が、僕には感動の対象だったんです。ときに旅は、人の価値観をガラリと変えます。ここではないどこかでしか味わえない震えを、僕はこの島で感じました」。

マニラから本島のバタン島へ空路があるが、ほかの島へは海路によるアクセス。無論、八幡さんはシーカヤックで島から島へと渡ったのだが。旅行客用の装飾がなされていない剥き出しの島の様子に触れ、心の躍動を大いに味わった。
 

八幡さんの心を揺さぶった現地の何気ない風景


首都マニラのあるルソン島のほうから黒潮の流れをうまく利用して北上し、八幡さんはシーカヤックでバタネス諸島へ。台湾との距離190kmとルソン島より近い場所にある温暖な島々には、ビーチはホワイトサンドで海はコバルトブルーという、観光地としてほとんど知られていない場所ながら南国の美しい光景が広がっている。

島内には木造の小屋に加えてストーンハウスと呼ばれる石造りの家が点在。これは現地民イバタン族による古来の家の形で、バタネス独特の風土を示したもの。現地で出会った人たちは“海の人”らしく明るい性格で、海で獲った新鮮な魚を中心とした食生活を送っている。

 

八幡さん流 旅を楽しむコツ
「とにかく笑顔を忘れない」

海の人はオープンとはいえ、いきなり現れた異国の人を見て警戒を強める人もいる。だから笑みを絶やさない。ボディランゲージを交えて、明るく交流を図る。
文明と自然が行き交うリゾートでまったりするのもいい。ただ、それでは現地の本質を見極めることは難しい。
その場所を知るには、やはりローカルな場所へ赴くのがいいだろう。八幡さんのお話から、その冒険的思考は旅をするうえで大切な要素のように感じるのだ。


SHARE

次の記事を読み込んでいます。