ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。
「SEAWARD TRIP」を最初から読む今回は「Hybrid Surfer」
一芸に秀でることさえ難しいのに、二芸とは。その溢れるタレント性に周囲も羨む存在が、カリフォルニアのサンディエゴに住むジョー・スコビーだ。サーフィンが盛んなオレンジカウンティ出身のため、少年時代からサーフに明け暮れ、今も腕前は抜群。その存在感は、米国きっての老舗サーフィン雑誌に20ページ近い特集が掲載されたほどである。
そしてセラミックアーティストとしての実力も、サンディエゴにあるミンゲイインターナショナル博物館に認められるほど高く、作品は東京やニューヨークで取り扱われてきた。「シンプルな人生が一番。良い波を外さず、陶器づくりに向き合い、家族と幸せに暮らす。それが僕には最良の人生さ」。
サーフスポットへはクルマで数分。最近はアトリエも完成させて、多彩なサーフボードと数々のポッタリーに囲まれ、生活の充実度を上げている。
南カリフォルニアのサンディエゴにある由緒あるビーチタウン、ラホヤに家族3人で暮らすジョー・スコビー。自邸は1900年代初期に建てられたフラットハウス。ガーデンにはグアバやピーチ、バナナといったフルーツが豊かに実る。ラックにあったサーフボードは十数本。いずれもが名匠の手によるものであり、かつプライベートなつながりを持つチェイパーばかり。スコビーがサーフコミュニティのなかにしっかりと居場所を持っていることを示している。
高橋賢勇=写真 小山内 隆=文・写真セレクト