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「食べすぎはよくない。食べすぎなければ太らないし、健康になれる」、このように信じられていたのです。
糖尿病の治療についても、かつてはカロリー制限説が常識でした。糖尿病の専門医は患者さんにカロリー制限を指導していたのです。けれど糖尿病は、カロリー制限の食事では思ったように改善しませんでした。
何かがおかしい。
欧米の一部の研究者たちはそう感じていたのです。先述のように世界で重要な研究がさまざま行われ、この健康常識はガラリと変わりました。
「カロリー制限よりも糖質制限のほうが生活習慣病に有効」。これが現代医学の常識なのです。
糖質制限食を正式に認めたアメリカ糖尿病学会
私は、2005年に日本初の糖質制限食に関する書籍(『主食を抜けば糖尿病は良くなる!』)を刊行以来、欧米で急速に深められている糖尿病の最新研究を根拠として、糖質制限食の有効性と安全性を訴え続けました。
一方、日本糖尿病学会は糖質制限食に否定的なスタンスを取ってきました。
そして、2012年の日本病態栄養学会年次学術集会で、私は糖尿病学会主流派とディベートで対決することになります。
「カロリー制限食」の有効性には根拠がない。ところが、糖質制限食の有効性を示す根拠として有力な研究がいくつもある。
私はエビデンスを示してこう主張したのです。このディベートが分岐点となりました。以降、日本の医学界は明らかに変わり、糖質制限食への理解と普及が広がっていったのです。
そして、決定的だったのが2013年10月です。アメリカ糖尿病学会が糖質制限食を正式に認めたのです。この意味は非常に大きなものでした。
アメリカ糖尿病学会は2007年まで糖質制限食の有効性を否定していました。それから、糖尿病についての決定的に重要な研究が数々行われたのです。アメリカ糖尿病学会は新たにわかった研究事実を検討した結果、糖質制限食を正式に認めたわけです。
このことは、糖質制限食の有効性が科学的に証明されたと、アメリカ糖尿病学会が認めたということを意味していました。


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