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これは日本糖尿病学会の主流派の皆さんにとっても衝撃だったでしょう。その日から、反対していた重鎮の学者たちも態度を変え始めました。
かつて大反対していた日本糖尿病学会の理事長まで、2015年から糖質制限食を取り入れるようになっているのです。
今年2月7日、糖尿病学会理事長の門脇孝先生(東大教授)と、渡辺昌先生(『医と食』編集長)を交えて東大医学部で90分間、鼎談(ていだん)させていただきました(『医と食』2017年3月号)。
門脇先生は、個人的な考えと前置きされながらも、一人ひとりの患者さんで糖質摂取比率を考慮する方向を目指すのがリーズナブルであるとおっしゃっておられました。東大病院でも2015年4月から糖質摂取比率40%の糖尿病食が提供されており、門脇先生ご自身も糖質摂取比率40%の緩やかな糖質制限食を実践しておられるそうです。
こうして現在では、以前のように糖質制限食を否定し続けているのは、ごく一部の人々だけとなりました。
糖尿病患者へのカロリー制限食指導は時代遅れ
それでも、いまだに糖質制限食は危険などとおっしゃる医師がいらっしゃいますが、こうした方には、これまでの東洋経済オンラインでの私の記事や著書を読んでいただきたいと思っております。私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」でも、目についた糖質制限批判については逐一、反論してきました。
合併症などのリスクがある糖尿病患者に、糖質60%にもなるカロリー制限食を指導するのは、きわめて危険な行為です。
糖質だけが直接血糖値を上昇させ、「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」という最大の合併症リスクを生じます。そして、これらを起こさないのは唯一、糖質制限食だけなのです。
「糖尿病治療にはカロリー制限よりも糖質制限」という流れは、もはや変えようがないメガトレンドであることを、患者の皆さんも医療関係者もぜひ認識していただきたいと思っております。
著者:江部 康二
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記事提供:東洋経済ONLINE


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