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2017.09.27

あそぶ

どんな知識が必要? 未来の”色彩マスター”が集う「専門講座」を体験!

年齢を重ねると、新しく何かを身に着けることが億劫になってくる。しかし、好奇心を失えば、視野や可能性は広がらない。あえて未知なるジャンルに挑むことは、人生をより豊かなものにしてくれるはずだ。そこで、「資格」に目を向けてみてはどうだろう。オッサンの日常に彩りや潤いを与え、さらには将来にも役立つ。“新境地”を切り拓くべく、資格の世界を覗いてみよう。

せっかく勉強するからには、取得することで人生に新たな楽しみが生まれるような資格がいい。仕事にも役立つものだと、なおいい。そんな観点でアレコレ調べた結果、「色彩検定」がおもしろそうだという結論に至った。前編では「色彩検定」がどんな資格で、どんなことに役立つのか、そのあらましを紹介したが、今回は資格取得に向けた検定講座を体験し、その中身に迫ってみたい。
体験させていただいたのは「色彩活用研究所」が実施する「色彩検定1級1次講座」。色にまつわるさまざまなスクールを行う同研究所の中でも人気の講座で、全4回。11月に行われる「色彩検定1級1次試験」に向け、2週に一度のペースで集中的に学んでいく。今回はその初回。初回ということで、まあ色のイロハ程度のところから入るのだろうが……。
講師の大串さん
「1級となると、イロハというレベルではなく、かなり専門的な色の知識が求められます。さらには“測色”と呼ばれる色を正しく伝えるための方法や、色彩を管理するために必要な知識も必要になってきますね」
と教えてくれたのは、色彩活用研究所・桑野恵美さん。色彩検定は3級、2級、1級に分かれており、色の基本的な効果や性質を学ぶ3級や、配色について学ぶ2級は独学でもなんとかなるという。しかし、1次、2次に分かれる1級は、講座で集中して学んでも合格は楽観視できない狭き門。なお、2016年度の合格率は3級が72.25%、2級が62.84%、1級は29.77%である。
日曜の朝10時、1級1次の検定講座がスタートした。みんな真剣だ。聞けば、1級の試験は年1回のみ、つまりワンチャンス。そのためか、気合が違う。今日はここから昼休憩を挟み15時まで、みっちり「表色系」について学んでいくという。
筆者のように物見遊山で来ている人はいない。当たり前ですが
ちなみに「表色系」ってなんでしょう?
「表色系は、色を記号や数字でより正確に表現するためのツールです。用途や目的に合わせ、PCCSやマンセル表色系、オストワルト表色系、XYZ表色系など、いくつかの手法があります。試験にはその全てが出ますので総合的に学ぶ必要がありますね」(桑野さん)
なんだろう、この、昨日入門したばかりの練習生がいきなり「虎の穴(※)」にきてしまった感じ(※アニメ『タイガーマスク』に登場する悪役レスラー養成機関。地獄の猛特訓が行われる)。しかし、マジメに授業を受けていると、深い意味は分からないにしても「解き方のコツ」みたいなものは何となく掴めてくる。検定に受かるための対策を、みっちり仕込んでくれるのだ。
大串先生は教え方がうまい
たとえば1級1次試験には、こういった問題が出る。

【問】下に記した色はオスワルト表色系では
① 23caと表される。
② 12caと表される。
③ 23pcと表される。
④ 12pcと表される。
表色系という言葉をさっき知った筆者には何が何やらだが、頭の数字は「色相」、アルファベットは「白色量、黒色量」を表しているという。つまり上記は、示された色の色相と白色量、黒色量を割り出す問題である。
そう聞いても何が何やらではあるが、講座では図解を用いて表色系の数値を割り出すアプローチを教えてくれるので、その図の書き方さえ覚えてしまえば何とか問題は解ける。3級、2級の基礎知識すらないまま「虎(※)」の巣窟に飛び込んでしまったが、まったくどうにもならないというわけではなかった(※アニメ『タイガーマスク』に登場する世界的シンジケート。虎の穴を運営する)。
図を書いて、当てはまる色を割り出していく。もっと感覚的なものかと思ったら、意外にロジカルなアプローチだった
「1級の試験ではこうした表色系の問題のほか、時間内で条件に合ったカラープランニングや色彩計画、配色をどれくらいできるか、といった実践的な問題も出ます。3級、2級をベースにした応用編という感じですね」
なお、このあとの講座では「第2回:色彩調和論・色彩心理」、「第3回:光と色・色彩の実務」、「第4回:模擬試験+本番直前対策」へと進んでいく。回を追うごとに深い前提知識が必要となるため、さすがに筆者のような素人にはついていけなくなると思われるが、まずは3級2級のテキストで充分にスクワットしてから改めて臨みたい。
「色彩検定」というと、色の種類や特性を覚えればいいものかと思っていたが、実際に覗いてみると思いのほかロジカルな部分もあり、知的好奇心を刺激されるおもしろい世界だった。1級のレベルまで到達できれば、まさに“色彩マスター”と呼ぶにふさわしい、膨大な知識が身に着くことだろう。ファッションセンスが磨かれたり、プレゼン資料に色彩効果を取り入れることで説得力を増したりと、実用的な恩恵もありそうだ。道のりは険しいが、学びがいのある資格ではないだろうか。
取材・文/榎並紀行(やじろべえ)
【取材協力】
色彩活用研究所
http://iro-labo.com/


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