手元腕元にひと味欲しくなるこの時季に、エルメスのアクセサリーからふたつの新シリーズが届いた。リングとバングルは、エルメス家4代目ロベール・デュマによるデザインの名作「シェーヌ・ダンクル」からインスピレーションを得て、マスキュリンにアレンジした「プレイ」というシリーズ。艶消しと光沢を組み合わせた仕上げが、ステンレススティールという素材の魅力を存分に引き出している。
ブレスレットは「クリックHH」と名付けられたシリーズ。パラジウムにブルーのエナメルを組み合わせ、大人の落ち着きを醸してくれる逸品だ。
どちらも我々の遊び(=プレイ)心にカチッと(=クリック)はまる新作である。
そして、通常のアクセサリーにはあまり用いられることのない、ボールペンのキャップや結束バンドをモチーフにしたのが「アンブッシュ」のこちら。素材はいずれもシルバーだ。ユニークだし、アイロニカルでもある。オッサンの顔にいろんな意味の片えくぼを浮かべさせてくれるのだ。美しさの概念を問う一品でもあり、日用品にこそ美が宿るのではないか、とも考えさせられる。「スタンス」と銘打たれた本コレクションのテーマは「やりたいことだけをやる、という静かな革命」だとか。美に対する作り手の“スタンス”の表明。この心意気にも思わず片えくぼができてしまうな。