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2017.05.21

たべる

「ホッピー仙人」はホッピー好きのマスターと客が集う聖地だった

寿司屋感覚で「おまかせで」とオーダー

横浜の野毛といえば飲み歩きのメッカ。ここには、世界で唯一のホッピー専門バーがある。店名は「ホッピー仙人」。
 
店は左の都橋商店街の2階にある
マスターは常連客から「仙人」と呼ばれ、彼が注ぐホッピーは軽やかでクリーミーだと評判なのだ。
仙人です
店は今年(2017年)の 9月に16周年を迎える。営業時間は19時〜22時の3時間のみ。しかし、その間の店内は常にぎゅうぎゅう詰めの満席状態だ。
ここでは瓶ホッピー、樽ホッピーの他に、さまざまなホッピーカクテルも飲める。寿司屋感覚で「おまかせでお願いします」とオーダー。まず、出てきたのは黒ラム酒を黒ホッピーで割ったもの。
お値段は500円
おっと、美味しい。焼酎をホッピーで割ったものばかり飲んできたが、これは新しい感覚だ。しかも、ホッピーの味わいは残っている。
真後ろではふたりの若者が飲んでいた。聞けば、何度かトライして今日やっと入店できたという。「やっぱり、ここのホッピーは味がぜんぜん違いますね」と満足げだ。
乾杯!

「赤坂」は芸者さんの行動がきっかけで誕生

2杯目は青リンゴサワーと白ホッピーのハーフ&ハーフ(800円)。
ご覧のように見た目も洒落ている
これには「堀越さん」という名前が付いている。「以前、ホッピービバレッジに堀越さんという非常にお世話になった人がいて、彼が飲み会で青リンゴサワーを飲んでいた時に思いついたから」とのこと。
3杯目。「次は赤坂行きましょうか」と仙人。え、これからですか? と動揺するも、「赤坂」という名前のホッピーカクテルがあるんだそうだ。
白ワインと黒ホッピーのマリアージュ!(500円)
「ホッピービバレッジさんが帝国ホテルで開いた宴席に呼ばれたことがあって、そこで僕は黒ホッピーを飲んでいたんです。そしたらテーブルを回っている赤坂芸者さんがジョッキに白ワインを注いでくれて。『おっ』と閃いて、分量などの調整を経たのちにお店で出すようになりました」
その時のイメージを大切にするために、まずジョッキに黒ホッピーを注いで、後からワインを足している。
味はフルーティーながらさっぱりとしていて飲みやすい。仙人によれば「締めのホッピーに最適」だそうだ。

僕にとってホッピーは一番面白い遊び

「うちの焼酎は金宮の20度と25度を混ぜて一晩置いた『前割り』。混合比率は秘密です(笑)。ホッピーカクテルを考案するにあたっては、ありとあらゆる種類のお酒を試しましたね」。
女性にはラテアートのサービスも
店の壁には氷上にホッピーの瓶が置かれた写真があった。「面白いコラージュですね」と仙人に言うと、「それ、南極で撮ったんですよ」。
南極で飲んだらおいしそう……
常連に南極観測隊員の自衛隊員がいて、彼がこの瓶を南極に持参し、記念撮影をしてくれたという。
カウンターの上に置いてあるお菓子は、どれも200円。けっこうマニアックな品揃えだ。
仙人のイチ押しは「ピーナッツ煎餅」
最後に、仙人というからにはホッピーを作り続けて開いた悟りの境地も知りたい。
「ホッピー、焼酎、ジョッキをキンキンに冷やす『サンキン 』はもちろん、割り方、注ぎ方、飲み方で味が変わる。あと、他のお酒はメーカーが味を決めるけど、ホッピーは作り手によっておいしさが違ってくる。僕にとってホッピーは一番面白い遊びですね」
さすが、「ホッピーの聖地」と呼ばれるだけあって、おいしい飲み方をとことん追求する姿勢がすばらしい。ちなみに、仙人は「最終的にはホッピーの屋台を出したい。大学生の頃、屋台で一人立ち飲みをしていたから懐かしくて」と言っていた。おお、それいいですね。通います。
取材・文/石原たきび
取材協力/ホッピー仙人 http://hoppysen.web.fc2.com



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