ママ、スタッフ、お客さんの年齢層が若い店が「ニュースナック」
当連載では、これまで「スナックの基礎知識」、「スナックの発祥」、「スナックに関するトリビア」について学んできた。今回はスナック業界に変化の兆しが見られるというお話。
「『スナック』という名の愉悦」を最初から読む先生は、首都大学東京の法学系教授で法哲学を専門とする谷口功一氏。スナック好きが高じて2015年に「スナック研究会」(
http://snaken.jp)を立ち上げた氏は、生粋のスナック愛好家である。
「スナックといえば、夜の世界を知り尽くしたママが切り盛りしているというイメージ。しかし、平本さん(※)と話していて『あ、そうそう!』と思ったのが『ニュースナック』の台頭です」(※)連載後半の「実践編」を担当してもらうスナック検索サイト「スナッカー」(
http://snacker.jp)編集長)
「ニュースナック」とはママ、スタッフ、お客さんの年齢層が若い店を指すという。「スナッカー」の解説にはこうある。
「ニュースナックは20代~30代のママも決して珍しくなく、店の女の子も若いことが一番の特徴。基本的な料金設定は従来のスナックと同じことが多い」たとえば、東京・高円寺にある「リトルペンギン」もそのひとつ。
ママが若い。女性スタッフが若い。日々訪れる常連客も若い。そして、青く光る看板は有名イラストレーター・永井博さんによるデザインだ。従来のスナックとは、やはり一線を画す。
開業資金を安く押さえられるのも魅力
なぜ、「ニュースナック」が増えてきたのだろうか。
「経営者の高齢化によって、今後10年で3割以上のスナックが消えるといわれている一方、飲食業で『一国一城の主になりたい』という思いを持つ若い女性も常にいます。そんな時に閉店したスナック店舗を居抜きで使うことによって開業資金を安く押さえられるのも魅力でしょう」
さらに、谷口氏は言う。
「地方だけでなく、東京の郊外にも、そういう店が増えているような気がします。実際、先日、北九州に行った際にふらりと入ったスナックも若い人ばかり。中学の先輩・後輩のつながりなどで賑わっていて、お店のママも女の子も非常に若くてビックリしました」
こちらは平本さんの分析だが、低迷する景気の影響で稼げなくなったキャバクラに見切りをつけ、独立して「ニュースナック」を開く女性も多いようだ。また、キャバクラのノルマや指名制度から解放され、のんびりとした働き方を選ぶケースもあるという。
このような新風によってオッサンはもとより、若い男性客がスナックに通うスタイルが定着すれば、業界全体の底上げにもつながりそうだ。
次回、第六回のテーマは「スナック研究の最前線」。谷口氏が代表を務める「スナック研究会」の活動内容や、今後の展望をご紹介します。
取材・文/石原たきび
新宿南口で美人姉妹が営むニュースナック!
「Lounge R82 (アールハニー)」
営:21:00~1:00
休:日曜、祝日
住:東京都渋谷区代々木2丁目7-6 GSハイム佐藤ビル4F
電:03-3377-5639
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