成熟した男性は、仕事人、家庭人、地域人といった3つの顔を持つという。しかし、自分なりの美意識を持った37.5歳からのオーシャンズ世代なら、ここに「趣味人」としての顔を付け加えたい。自分らしい趣味を持つことでハレとケを使い分ければ、仕事にも家庭にも、きっと良い影響を与えてくれるはず。オッサンだからと尻込みすることなかれ。人生をちょっと潤わせてくれる「新しいコト」に挑戦してみよう!
大自然の中、フレーバーコーヒーを満喫。携帯用ミルで挽いて楽しむ。 元釣り雑誌の編集長で外遊びの達人、水口謙二さんに教えを乞いながら始まった、初めての「ルアーフィッシング」。『奈良子釣りセンター』で渓流釣りを楽しみ、それなりの釣果で満足したあとは、釣った魚や持参した食材でのBBQ。ルアーフィッシングでのプラスαの楽しみ方が始まった。
まずは、水口さんオススメのコーヒーで冷えた体を温める。準備してくれたのは、ニューヨークで流行っている「フレーバーコーヒー」。コーヒー豆を煎ったあとに冷まして、香り付けをしているという。今回は、バニラフレーバーのコーヒー豆だ。それを、携帯用ミルで抵抗がなくなるまでハンドルをガリガリと回して挽いていく。粉になったら地下水を沸かしたお湯でドリップ。ひと口飲めば、香ばしく芳醇な香りが鼻腔から抜け、その滋味が冷えた体に染み渡っていく。オフィスで眠気覚ましに流し込むコーヒーとは大違い。今後、外遊びにはコーヒーは欠かせなくなりそうだ。
私たちがコーヒーを楽しんでいるあいだ、水口さんはBBQの準備。といっても、そんなに難しいものではない。今日のメニューは、照り焼きチキンのホットサンドとステーキだ。水口さんが開発に携わったという『冒険用品』のミニ鉄板『ヨコザワテッパン』を使って調理する。コーヒーを飲むためのお湯はガスバーナーを利用して沸かしたが、BBQはガソリンバーナーを使う。ガソリンバーナーのほうが低温下でも火の勢いが安定しており、また、火力の微妙な調整ができるのだという。こういったアウトドアギアも、男心をくすぐる。
調理はとっても簡単だった。事前に照り焼きのタレに漬け込んだチキンを鉄板で焼き、同じく事前に仕込んだ野菜と一緒に、鉄板で焼いたロールパンに挟んで、タルタルソースをかければ出来上がり。すべて市販の食材だが、やはりそこは大自然というシチュエーションの妙。ガブリとかぶりつけば、なんとも言えないおいしさだ。
釣ったニジマスを焚き火で調理。まさに、命を“いただきます” 調理はメインのステーキへと移る。国産の霜降り肉を『ヨコザワテッパン』で焼くのだ。熱した鉄板に肉を乗せると、ジュッという音とともに身が締まり、霜降りの脂が溶け出す。その焼けた香りが、食欲をそそる。ミディアムレアの状態になったら、岩塩をひと振り。
水口さんは胸ポケットから愛用のナイフを取り出して、サッと切り分ける。このナイフの使い方が、たまらなく格好いい。子ども時代のある時期、武器に夢中になった経験は誰しもあるだろうが、オッサンになっても、ナイフが持つ機能的な美しさには惹かれてしまう。水口さんは、このナイフで肉を切り分ければ、魚も捌く。また、釣りの仕掛けをつくるときにも利用するという。ナイフ一本でなんでもこなす姿に、ジョン・ランボーのような、たくましさと男臭さを垣間見た。憧れるな〜。
今日作ったのは、照り焼きサンドとステーキ。これくらいなら、料理が苦手な男性でも簡単にできそうだ。ステーキをあのナイフで切り分ける様を見せつければ、友人や会社の同僚、家族からも一目置かれて、「パパすごい」、「先輩の違う一面を見ました」、なんてことになるかもしれない。 そんな想像に浸っていたら、釣ったニジマスが変わり果てた姿になって現れた。『奈良子釣りセンター』の管理人、渡邉さんがサービスで調理してくれた。ニジマスの表面に塩を振り、焚き火を使っての直火焼きだ。 この焚き火がまた素晴らしい。燃え上がる火を見ていると、本能的なものなのか、自然とテンションが上がる。なんでも、渡邉さんがFacebookに焚き火の動画を上げると、かなりの数のいいね! がつくのだとか。都市部では、なかなか場所を確保できないだけに、いいね! がつく理由もなんだかわかる気がするな。
焼き上がったニジマスは、皮はパリッと焼き上がり、中身はほくほく。渓流で育っているだけに、身が引き締まっている。ガブリとかぶり付いて、骨から身を剥がしてムシャムシャと頬張れば、命を頂いているという表現がピッタリ。水口さんが言っていた「子どもの情操教育にもなる」という言葉の意味が理解できた。 渡邉さんが調理してくれたのはニジマスだけではなかった。焚き火を使って、さらに素敵なサプライズ。それは、焼き芋だ。渡邉さんは、焼き芋にハマり、さまざまな品種で焼きを試し、究極の逸品を追い求めているという。「今日は、紅天使と安納芋。安納芋のほうが有名ですが、オススメは紅天使です」と自信満々。勧められるまま紅天使をパカッと割ると……。なんと、蜜がしたたり落ちた。ひと口食べると、あま〜い。これまでに食べた焼き芋の中で、最高に甘い! しかも、とってもジューシーなのだ。
焼き芋といえば、ちょっとぱさぱさしているイメージがあったのだが、渡邉さんの焼き芋は、しっとりねっとり口の中で甘味を発する。なんでも、濡れた新聞紙で巻いて焼くのがコツのひとつ。あとは、焚き火の炭による遠赤外線作用だという。先ほどの焼き魚といい、この焼き芋といい、焚き火の力は偉大。釣りを趣味にするなら、焚き火もセットにして楽しみたい。
今回の取材では、
・大自然の中、自分で挽いて入れたコーヒーは絶品。
・炭を使わずガソリンバーナーを使えば、アウトドアの料理は手軽で簡単。
・釣った魚の一部は、その場で調理して直焼きで食べたい。
・男はいくつになっても、ナイフなどのアウトドアギアにテンションが上がる!
・焚き火ができる管理釣り場なら、火を愛でる楽しみもある。焼き芋があればなおよし。
ということがわかった。 最終回となる次回は、今回のルアーフィッシングやBBQに使用した釣具やアウトドアギアをより深く知るために、水口さんが経営するショップに足を運ぶ。男心をくすぐるさまざまなギアにテンションマックスだ。乞うご期待。
//////////////// ■ スポット情報
奈良子釣りセンター
住所:〒409-0625 山梨県大月市七保町奈良子10
電話:0554-24-7636
営業時間:6時30分~17時00分
http://www.narago.jp/ 冒険用品
住所:〒192-0154 東京都八王子市下恩方町1817-2
電話:042-659-0262
営業時間:11時00分~19時00分(火曜日定休)
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