嗚呼! そのひと言……言っちゃった……」「あ〜それ言っちゃうか……」。
と年下女性を残念な気持ちにさせるひと言が、ここでいう37.5歳的放送禁止用語の簡単な定義である。そんな思いを抱かせてしまう言葉を発したらすでに放送事故だ。
そして思っている以上に会話の中で使う“言葉”の威力は大きい。
男性自身の自己評価が言葉に出て、女性はそれを敏感に察知する生き物。
演出次第でどうにでもなれるお得な妙齢であるオーシャンズ世代の自分ブランディングの大きな役割を担うのが言葉なのである。
そんな放送禁止用語連載第一回目のひと言はきっと誰もが一度は言ったこともあるし人によっては頻出単語かもしれない、コレ。
「もうおじさんだからさー」。大抵多くの場合はこのあとに(笑)が続く。
ああ……言っちゃった……。
意外に簡単に使ってしまうこの言葉。
私が自信を持ってリストの最初に挙げたい放送禁止用語!
ではなぜこれが放送禁止なのか。
ひと言で言うと、とにかく、リアクションに困る!からである。
そして格好つけてない男性は年齢にかかわらず……なんだか萎えるのだ。
いや、わかる。大いにわかる。
これを言いたくなってしまうその気持ちも。
「え! これ知らないんですか⁉︎ 流行ってるんですよ?」と言われてしまった瞬間の、トレンドや新しいことに鈍感になってしまっていることに気づいた時のショックへの緩衝材として使う「いや俺ももうおじさんだからさー(笑)」。
「格好つける」というコンテストの舞台からは降りてますので評価札あげなくていいですよーという降参の意味での逃げ腰「おじさんだからさー」発言。
あとは「そんなことないですよー!」を淡〜く期待した「いやぁ、もうおじさんだもん」。
どれにせよその発言は自分のためでしかなく、不要かつリアクター泣かせなのである。
しかもその発言をすればするほど世の中から自分を遠ざけ距離を離してしまう。
自らメインロードを外れ、側道オンリー街道にまっしぐらなのだ。
と厳しいことを言ってみたが、では「おじさんだから」を禁じられた今どうすればいいのか。
まずちょっと意外な大前提、というか意識改革は
もっと女性の評価を信じる!こと。なぜなら、女性は男性が思っている以上に「男性の褒めポイント」のバリエーションを持っているから。
男性の自己評価のほうが女性に比べてだいぶ一辺倒だと思う。
これができなくなった、これを知らない、だからダメだ。おじさんだ……
女性はそうは思わない。年上男性に対して「かわいいな」と思う評価があったり、いくつになっても胸張って格好つけてる男性を格好いいと単純に思えたりする。思う以上に“おじさん評”は甘かったりするのだ。
もうひとつは、
“初心者上手”になること。新しいことや挑戦することが苦手になり初心者でいることが下手になるのもこの年齢。だからこそ「おじさんだから」の逃げ発言が出る。
だったらそれを好奇心にすり替えたらいい。
「それ何? 教えて!」と興味津々で年下に聞くのだ。そんな簡単なこと、と思うかもしれないが私が見る限り初心者下手な年上男性は想像以上に多い。
そして好奇心むき出しの初心者上手さんは、それだけで「おじさんだから」発言など必要ないほどに自然に若々しく見えるものなのである。
おじさんだからと逃げず、お茶目な初心者上手になるべき! 大人の男のテヘペロ精神である。37.5歳、胸張って格好つけようではないか。
文:岡野ぴんこ
N35inc.に所属するテレビ・ラジオの構成を手掛ける放送作家。
担当番組に、ZIP!(NTV系列)、another sky(NTV)、SENSORS(NTV)、マッチングラブ(TBS)などがある。
ファッション、ライフスタイル、レストランカフェ、旅、アウトドア、DIY・・・など興味は多岐に渡り感度絶好調のアンテナを持つ。女性がときめく情報、ビジュアル、瞬間は逃さず受信。自らのスタイル、文章、写真、映像、様々な表現で発信している。
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