「ウェルネス&腕時計」特集 Vol.73
2021.07.28
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60周年のグランドセイコーが発表した新作“シリーズ9”。その魅力は原点の「正統化」

昨年グランドセイコーは誕生60周年を迎えた。この記念すべきアニバーサリーを飾ったトピックスが新しいキャリバー9SA5の登場だ。

グランドセイコーの自動巻きとしては22年ぶりのフルモデルチェンジである。

この間、時計の技術は進み、各社から多くの最新鋭ムーブメントが登場した。だがこれに対し、決して手をこまねいていたわけではない。むしろ技術革新を精査し、グランドセイコーの機械式は今後どうあるべきかを見極めていたといえるだろう。

というのもグランドセイコーが超えるのは他者ではなく、常にグランドセイコー自身だからだ。

[ヘリテージ コレクション シリーズ9]SSケース、40mm径、自動巻き。104万5000円/グランドセイコー 0120-302-617

1960年の誕生時には、国産では初めてスイスのクロノメーター規格に準拠した独自のグランドセイコー規格を定め、これを課した。さらに’98年には、これを超える精度を目指した新グランドセイコー規格を制定し、新たな指針とした。

グランドセイコーにとってそれは進化であると同時に、さらなる深化だったのだ。

グランドセイコー独自のデザイン理念である“セイコースタイル”を確立したのは、1967年に登場した「44GS」だ。以降、デザインコードは崩すことなく継承され、今回の「シリーズ9」で現代的な解釈とともに熟成を遂げた。

こうした連綿と続く技術の系譜に加わった9SA5は、毎時3万6000振動のハイビートによって精度を安定させ、さらにパワーリザーブも従来のハイビートムーブメントの55時間から80時間へと延ばした。

これを実現するため、ふたつの香箱と高効率のデュアルインパルス脱進機を搭載。高い精度や実用性を実現するとともに、独自の水平輪列構造で薄型化している。

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新作はデザインにおいても原点であるセイコースタイルを正統化させた。

ケースの造形は、鏡面と筋目の異なる仕上げのコントラストと、その中間の光の階調を表現し、インデックスには溝を刻み、存在感を増した。この新しいデザインは「シリーズ9」と名付けられた。

ダイヤルは白樺林を表現し、漂う静謐に次世代への強い意志を秘めるのだ。

 

※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール

作木正之介=写真 柴田 充、髙村将司、オオサワ系、まつあみ 靖、戸叶庸之=文

# グランドセイコー# 腕時計
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