目にした瞬間、欲しくなる。そんなエルメスの最新作。細部に目をやれば、繊細な仕上げやタイポグラフィの美しさに心惹かれ、着用してみれば、その軽さにも驚嘆。そして、秘められたその名前の謎とは。
スポーティな見た目だけでない何かが、そこにはある。
エルメスの夢の続きを体現する「エルメスH08」
時計における「夢」とは。言い換えれば、理想とする高みだ。
第一義的には時を告げる道具である以上、性能のあくなき追求は必須。それに加え、装飾品としてのグッドデザインの体現も不可欠だろう。そして、所有欲を満足させるストーリーの構築も、今や素敵な腕時計が備える条件のひとつとなっている。
そこでエルメスの最新コレクション、「エルメスH08」のオールブラックモデルを手に取る。
ケース素材は、炭素化合物であるグラフェン・コンポジット。軽量性と堅牢性に優れるそのケースに自社製ムーブメントH1837を搭載。装着感の高いラバーストラップを備え、機械式スポーティウォッチのひとつの理想を表現している。
一方、四角形と円を組み合わせたフォルムや、独自に考案したタイポグラフィの美観は、エルメスの面目躍如たるところ。サテンとポリッシュの磨き分けやカッティングといった細部には自慢のサヴォワフェール(職人技)が調和する。
与えられたモデル名にもエルメスらしいストーリーが潜む。構成する「0」と「8」。文字どおりの無と、横に倒せば無限となるふたつの数字が示唆するのは、時の神秘や深み。これまで時間の概念を哲学的に表現してきたメゾンの本懐が見て取れる。
エルメスの夢の続きを、鮮やかに体現して見せた「エルメスH08」。時計に夢を求めたい我々に、ぴったりと寄り添うモデルであることは間違いない。
TAKAY、竹内裕二(BALLPARK)=写真 熊谷隆志、梶 雄太=スタイリング 池上 豪(NICOLASHKA)、飯嶋恵太(Mod’s Hair) =ヘアメイク 柴田 充、髙村将司、オオサワ系、まつあみ 靖、戸叶庸之=文