「ウェルネス&腕時計」特集 Vol.29
2021.07.11
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「カルティエ」の新作タンク。光充電と植物素材ベルトが次世代のラグジュアリーを示す

時計史に燦然と輝く名作「タンク」は、1917年に誕生し、その名のとおり、デザインは戦車からインスピレーションを得たと言われる。

当時戦車はハイテクの象徴であると同時に、長く続く大戦を終結させ、自由と平和をもたらした存在だった。だからこそ現代の「タンク」がサステイナブルやエコロジーへと向かうのも必然といえるだろう。

光充電と植物素材ベルトが次世代のラグジュアリーを示す「カルティエ」の新作タンク
腕時計30万3600円[予価]/カルティエ 0120-301-757、シャツ12万1000円[予価]、デニムは参考商品/ともにセリーヌ オム バイ エディ・スリマン(セリーヌ ジャパン 03-5414-1401)

新作「タンク マスト」が搭載したのは、メゾン初の光起電発電のソーラービートムーブメントだ。

これは、ダイヤルの下に光電池の受光パネルを積層し、肉抜きされたローマ数字インデックスから光を取り入れ、一日10分程度の受光で駆動する。クオーツのような頻繁なバッテリー交換は必要としない。しかも耐久年数は約16年と長期にわたる。

そしてもうひとつのトピックスが、ベルトを従来のレザーから植物素材に変更したことだ。

[タンク マスト]角形フォルムに、レイルウェイトラック、ローマ数字インデックス、ブルーカボションというコードを確立した「タンク ルイ カルティエ」を継承し、先進技術を注ぐ。ケースの厚みや受光部の仕上げ、ストラップの風合いや肌触りにもまったく違和感はない。9月発売予定。SSケース、縦33.7×横25.5mm、ソーラービート。30万3600円[予価]/カルティエ 0120-301-757

新たに開発した非動物性素材はその約40%をスイス、ドイツ、イタリアの農産物加工産業用に栽培されたリンゴの廃棄物などから作られる植物素材で構成する。

一本あたりのカーフスキンベルト製造に比べて、生産工程におけるカーボンフットプリントを6分の1に削減し、水使用量は10Lまでに削減、エネルギー消費量は最大7ジュール(スマートフォンの充電約80回分に相当)も削減されるという。

しかもリンゴ栽培とその廃棄物回収のほか、素材の製造拠点はイタリア、ベルトの製造はポルトガル、時計の組み立てはスイスで行い、ヨーロッパ内での生産により、原料輸送もカーボンニュートラルにこだわる。

この取り組みをまったく新しいコレクションではなく、アイコンである「タンク」で採用したことに意義がある。それは、現代のラグジュアリーが決してプレシャスな素材や独創的な複雑機構の価値だけではなく、未来に向けた眼差しや行動する意思の大切さであることを教えてくれるだろう。

そしていつの時代もラグジュアリーを提示してきたカルティエにこそ相応しい。

 

※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール

TAKAY、竹内裕二(BALLPARK)=写真 熊谷隆志、梶 雄太=スタイリング 池上 豪(NICOLASHKA)、飯嶋恵太(Mod’s Hair) =ヘアメイク 柴田 充、髙村将司、オオサワ系、まつあみ 靖、戸叶庸之=文

# カルティエ# サスティナブル# タンク# 腕時計
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