厚め? 薄め? シンプルなドレスウォッチの新作で両極リサーチ
今年の新作を座標図にて紹介する「ウォッチマッピング 2020」。最後はシンプルなドレスウォッチをチェック!
アナタの脳をビシビシ刺激する一本は見つかっただろうか?
第1弾 スポーツウォッチ×カジュアル編はこちら
第2弾 スポーツウォッチ×ラグジュアリー編はこちら
第3弾 ドレス×コンプリケーション編はこちら
[シン厚 1]あえて視認性を度外視したミニマルデザイン

H.MOSER & CIE.
H.モーザー/ベンチャー・コンセプト ベンタブラック ブラックハンズ
見るものを吸い寄せる漆黒のダイヤルを、人間の髪の毛の1万分の1という細さのカーボンナノチューブ素材、ベンタブラックで創出。それは光の吸収率がきわめて高く、人間の目に物質として認識されないほど。
まるでブラックホールのごとき黒に、黒色の針。時を読むべき時計の常識を鮮やかに覆す。
[シン厚 2]スポーティ&ドレスを絶妙な塩梅でミックス

FREDERIQUE CONSTANT
フレデリック・コンスタント/クラシックインデックス オートマチック ハートビート
グリーンを挿した2トーンのダイヤルとラバーストラップからは、幾分スポーティな薫りが漂う。とはいえ、クラシカルなローマンインデックスと12時位置のハートビートが織りなすエレガンスは、まさしくドレスウォッチのそれ。モダンなハイブリッドウォッチといえよう。
[シン厚 3]王道の佇まいをディテールでアップデート

TISSOT
ティソ/ティソ ジェントルマン オートマティック 日本限定モデル
ラウンドケースに3針&デイト表示のみを携えた、オンオフ問わず頼りになる王道の佇まい。そこに品を添えるのが、丁寧に面取りされたバーインデックスや極細の秒針といった洗練のディテールだ。
サンレイ仕上げのブルーダイヤルを十字に切るクロスラインは、日本限定モデルの証し。
[シン厚 4]目指したのは、建築的な質実剛健

MIDO
ミドー/マルチフォート クロノメーター1
デイデイト表示を備えた3針を、シンプルかつ堅牢なSSケースが囲む質実剛健なモデル。COSCのクロノメーター認定を受けた高性能ムーブメントを搭載し、実用性は申し分なし。
また、ダイヤルのストライプ装飾はシドニーハーバーブリッジのサスペンションケーブルをイメージし、モダンな雰囲気を醸す。
[シン薄 1]さらに熟練を増す極薄ドレスウォッチの祖

PIAGET
ピアジェ/アルティプラノ マニュアル
ウォッチメーカーでありジュエラーでもあるピアジェの美的センスが、厚さわずか6mmのなかに凝縮。今作はブランド初となるK18PGケース×ブルーダイヤルを採用し、新たなラグジュアリーを表現した。シングルとダブルを交互に並べたバーインデックスが、奥ゆかしくも華麗なリズムを奏でる。
[シン薄 2]薄型スクエアケースを大作曲家の音色が彩る

NOMOS GLASHÜTTE
ノモス グラスヒュッテ/テトラ シンフォニー
稀代の作曲家ベートーヴェンの生誕250周年を祝い、歴史的楽曲にインスピレーションを得たカラーウォッチ。クラシックなコッパーカラーが特徴的なこちらは、第九コーラス部の最初のフレーズとなる“神々の霊感”をオマージュしている。アイコニックなスクエアケースと優しい色合いが絶妙にマッチ。
[シン薄 3]ミニマルな美しさのなかでムーンフェイズが際立つ

ZENITH
ゼニス/エリート ムーンフェイズ
太陽光を思わせる放射線状のギョーシェが光を受けて影を生み、ムーンフェイズ機能を相対的かつ抽象的に際立たせる。ダイヤルとストラップのグレーとSSの輝きが調和し、ミッドナイトブルーのサブダイヤルを浮かび上がらせる演出もお見事。9時位置には控えめなスモールセコンドを備え、気の利いたアシンメトリーに。
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール、K18=18金、PG=ピンクゴールド、WG=ホワイトゴールド
柴田 充、髙村将司、増山直樹=文