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2019.07.17

時計

文字通り「世界の海を制した」オメガ・シーマスターの歴史的偉業

オメガのシーマスターがついに、文字通り「世界の海を制した」。

米国の海底探検家、ヴィクター・ヴェスコヴォ氏。


舞台は世界で最も深い海の底、マリアナ海溝最深部。2012年に映画監督のジェームズ・キャメロン氏が打ち立てた有人潜水艇での単独潜水の世界記録を、今年5月1日、海底探検家のヴィクター・ヴェスコヴォ氏が塗り替えた。新たな世界記録は水深1万928mで、キャメロン氏の記録を30メートルほど更新。潜水時間は12時間に及んだ。

そしてこの歴史的快挙となった冒険を、オメガのダイバーズウォッチ「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」がともにしていたのである。



探査に使用された深海潜水艇はリミティング・ファクター。今回、そのロボットアームに2本、そしてロボットランダーと呼ばれる、海底の情報収集を目的とした切り離し可能な車両に1本、合計3本の「ウルトラディープ」を装着。そのすべてが完全無傷の状態で生還したのだ。

しかも、ロボットランダーは一時的なトラブルに見舞われ、海底で2日半を過ごすことになったにも関わらず、時計は平然と動作。これがいかに衝撃的なことか、ちょっと数字で考えてみよう。

水深1万928mの水圧は、およそ1万5750psi(psi=重量ポンド毎平方インチ)。加えて深海ではとてつもない水流にさらされる。「ウルトラディープ」のケースサイズは公表されていないので、試しに通常のシーマスター プラネットオーシャンコレクションの直径、43⁠.5mmでざっくり試算してみると……海底でケースの面にかかる水圧はおよそ10トン(!)。約4cmのケース一点に10トンって……どれだけ頑丈なんだ!?



この冒険の主役、ヴィクター・ヴェスコヴォ氏も「とてつもなく頑丈なだけではなく、スリムで軽量、なおかつスタイリッシュである完璧な海洋時計を製造する能力が素晴らしい」と絶賛。しかも潜水艇を制作した際の廃材を再利用してベゼルやケースバック、リュウズが作られているというのだからこれもまた驚きだ。

さらに、「世界記録を達成するために一度だけ使えれば良いという発想ではなく、複数回の潜水に耐え得るように設計した」と、念には念を入れ、地球には実在しない水深1万5000mという驚異的な水圧下でも完璧に作動するよう設計するというストイックさである。

残念ながら、今のところ「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」が市販される予定はないが、オメガはそのデザインや構造といった要素を、将来のシーマスターシリーズに活用する可能性を示唆している。

シーマスターといえばジェームズ・ボンドで有名だが、今後はどれだけ深い海でもミッションがこなせそうだ。って、身体がもたないわ。

 

谷澤修太朗=文

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