2019.01.02
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時計の未来はココにあり!? 最新技術を注いだ凄腕4本

機械式時計というと、ゼンマイと歯車からなる古色蒼然とした技術に思われがちだが、かつては数学、物理、天文学などと並ぶ最先端の英知だった。そして今、最新鋭の化学とツナガルことで新たな可能性の扉を開く。化学の力でどんどん凄くなる腕時計を紹介した前編に続く四傑とは?

HUBLOT ウブロ
ビッグ・バン ウニコ レッドマジック
技術開発への情熱が生んだ革新のレッドセラミックス

世界限定500本。セラミックスケース、45mm径、自動巻き。278万円/ウブロ 03-5635-7055

ハイテクセラミックスの技術はまだまだ発展途上であり、多くの壁もある。そのひとつが鮮やかなレッドカラーのセラミックスだった。これを実現したのが、ウブロの本作「レッドマジック」。

ハイテクセラミックスでもこれまで多くのカラーが実用化されてきたが、レッドは高温焼結により、顔料が黒くなってしまう。そこでウブロの研究開発部門と素材の研究部門は、セラミックスの加圧と加熱焼結の緻密なバランスに着目し、ついに実現に成功した。

鮮やかなレッドカラーに加え、新開発のセラミックスは高密度となり、硬さは従来の1200ビッカースから1500ビッカースへと向上。素材の技術開発を続けてきた先駆者ならではの革新のカラーといえよう。


RICHARD MILLE リシャール・ミル
RM 67-02 オートマティック アレクシ・パンテュロー
スタイリッシュなホワイトベゼルに積層する革新性

クオーツTPT×カーボンTPTケース、縦47.52×横38.7mm、自動巻き。1490万円/リシャールミルジャパン 03-5511-1555

リシャール・ミルの魅力は、贅を尽くしたような時計にではなく、むしろ目に見えないような素材技術にこそ革新性を注ぎ、唯一無二の時計作りを実践している点にある。ベゼルとケースバックには、ノース・シン・プライ・テクノロジー社との共作により開発された素材「クオーツTPT」を採用。

これは、45ミクロン未満のシリカ繊維の層を多層化し、45度ずらしながら重ねたあと、120℃に加熱して6バールの圧力を掛け、部品の形状に加工するという複雑なプロセスを経る。温度変化に強く、剛性にも優れ、ホワイトに浮き出た多層模様はその圧倒的な実力を象徴する。


VAN CLEEF & ARPELS ヴァン クリーフ&アーペル
ミッドナイト ゾディアック リュミヌー
人力が生み出す、煌めく星座に温もりが伝わる

K18WGケース、42mm径、自動巻き。1300万円/ヴァン クリーフ&アーペル 0120-10-1906

ポエトリー・オブ・タイム(詩情が紡ぎ出す時)をテーマに、独自の世界観を表現するヴァン クリーフ&アーペルは、ユニークな技術にそのクリエイティブの可能性を見いだした。

セラミックス素子を内蔵し、8時位置のプッシュボタンの操作によってこれを振動させ、LEDを約3秒間点灯。これが文字盤に配した半透明のエナメルビーズを背後から照らし、星座を浮かび上がらせる。

これは18世紀以降、研究が続けられている圧電気の現象を利用したモジュールで、メゾンでは2016年に初めて実用化。伝統的な機械式時計にこだわり、バッテリーに頼ることなく、電気を生成する。輝きにもどこか温もりを感じさせるのは、その美学があるからかもしれない。


HYT
H2.0 ブラック DLCブルー
液体によって時を指すユニーク表示を機械式で実現

SS(ブラックDLC加工)ケース、51mm径、手巻き。1366万円/オールージュ 03-6452-8802

時計の技術革新は、時刻表示方式にも向けられる。これは、文字盤外周に極細のチューブを備え、その内部を満たす青と透明の2種類の液体の境目が時針代わりに時を指し、中心の針が分を表示する。内蔵する技術は、機械式手巻きムーブメントの機構原理をベースに、歯車の回転運動をピストンの直線運動に転換し、文字盤下部にV字に設けた2つのふいごを動作させる。

これによって、それぞれの色の液体を貯めた2つのタンク内に加圧と減圧をもたらし、チューブ内で色分けされた液体のバランスを変え時刻表示を行う。18時まで進むと、液体はレトログラード式に初期位置に戻る仕組みだ。


※本文中における素材の略称は以下のとおり。
SS=ステンレススチール、K18=18金、WG=ホワイトゴールド

柴田 充、髙村将司、中村英俊、戸叶庸之=文

# ウブロ# リシャール・ミル# ツナガルトケイ# 化学# 腕時計
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