20代から好かれる上司・嫌われる上司 Vol.40
2021.04.09
LIFE STYLE

上司の新入社員の扱い方を見て職場の20代は評価をしている

「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……

新入社員だけでなく上司も見られている

今年も日本全国で新入社員がやってくる季節になりました。コロナ禍ではありますが、感染対策をしながら対面で入社式をやったり、オンラインでやったりと、喜ばしい光景をSNS等でよく見かけます。

大変な時期での入社となりましたが、それでも社会人人生の門出を切れたというのは、おめでたいことだと思います。

さて、新入社員が入ってくると、社内の視線は彼らに注がれることが多くなりますが、一方で、その新入社員の方々を受け入れる側の上司たちがどんな対応をしているのかについても、メンバーは無意識のうちに眺めています。そして、その対応で上司たちを見定めているのを忘れてはいけません。

「面倒臭い」と思っていないかどうか

まず、周囲の人々が見ているのは、彼らに対して「入社してくれてありがとう」という感謝や歓迎の気持ちを持っているかどうかです。

日本の新卒採用は潜在能力(ポテンシャル)だけで採用を行いますので、入社後しばらくは多くの新人はひとりではほとんど何もできません。要は育成や指導の手間がかかる人たちなわけです。

しかし、子供が生まれて、手間がかかることを本気で嫌がる親はあまりいないように(たまにイライラするのはよくありますが)、本当に新しく入ってくる仲間を慈しんでいるのであれば、そこに手間を惜しむことはないでしょう。

どういうところに「面倒臭い」が出るのか

もちろん、口では誰もが「新入社員、歓迎」と言っているとは思います。それぐらい言うのは簡単です。しかし、「歓迎する」ということは、心を尽くして相手側の心理を読み解き、それに対してさまざまな工夫をするということです。

新入社員の心を想像するなら、それはひと言で言うなら「不安」でしょう。もちろん希望はあるでしょうが、入社直後の期間は不安が勝つことが多いです。

「不安」な人に対してしてあげることは、「安心感」を与えてあげることですが、彼らは「職場に受けいれてもらえるだろうか」というのが不安のコアなので、そこで与えてあげるべきは「重要感」です。

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「自分は大切にされている」と感じさせるために何かをしましたか

「重要感」を持つというのは、「自分はここで重要な人だと大切に思われていて、ここにいてもいいのだ」と安心できることです。その方法はいくらでもあります。

新入社員の座席の上に「御入社おめでとうございます」と垂れ幕をつけてもよいでしょう。仕事に必要な名刺やPC、ノート、筆記用具等々をきれいに揃えて並べておいてもよいでしょう。

花を飾ったり、念入りに掃除をしたり、ともかく、心がこもっていれば何でもいいのです。

逆に形式だけ整えて、特別朝礼とか訓示とかをしても、席の周りが汚かったり、必要なものが揃っていなかったりすれば、「本気で大切だとは思われていないんだな」とバレてしまいます。

「自分の家に大事な人を招いたときにすること」をすればよい

「神は細部に宿る」(God is in the details.)とよく言いますが、本当に歓迎の気持ちがあれば行うであろうことを細やかに行えばよいのです。もしも、誰が重要な人を自宅に招いて歓迎する際にすることをすればよいだけのことです。

受け入れ側も身なりを整える。ゴミが落ちていれば拾う。なるべく美しい環境で出迎える。相手の好みを事前に知ろうとして、それに合わせて準備をする。何をすれば喜びのサプライズを起こすことができるかを、わくわくしながら考える。

相手を重要な人だと思っているのであれば、こういうことは「ふつうに」やることでしょう。

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実は、いちばん見ているのは「経営者」

さて、ここまで新入社員を迎えるに当たって、彼らを本気で歓迎してあげましょうということを申し上げました。それは第一には新入社員のためですが、実はもっと大きな目が上司の皆さんを見ています。それは経営者です。

経営者はどんな人に幹部になってもらいたいか。それは会社や組織や仲間にコミットしている人です。自分のことばかり考えるのではなく、会社や仲間のことを「自分ごと」として考えてくれる当事者意識の強い人を幹部にしたいのです。

新入社員を大事にしない管理職は幹部になれるでしょうか。否、です。会社の将来を支える大事な新人を大切にできない人は、いくら有能でも管理職失格です。

管理職は「ジェネレイティビティ」を獲得する時期

エリクソンのライフサイクル理論では、ちょうど上司世代にあたる中高年期の心理的発達課題として「ジェネレイティビティ(Generativity)」(世代性/生殖性などと訳される造語)を挙げています。

これは、次の世代を支える人々に関心を持ち、育てたりサポートしたりしたくなることです。まさに管理職世代が獲得しなければならない課題でしょう。人と人の関係ですから、スキルだけで解決できることは限界があります。

自分は本当に次世代に対する関心を持っているのかどうか。新人を迎えることに対して、自分が何をしてきたのかを振り返っていただいて、上司として自分の心理的発達段階を知ってみてはどうでしょうか。

 

連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ

「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
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組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。

 

石井あかね=イラスト

# 20代から好かれる上司・嫌われる上司# 新入社員
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