ノンネイティブ・デザイナーの藤井隆行氏と、その友人でギャラリー サインの代表・溝口至亮氏がインテリアについて語る企画「ぼくらがモノを買う理由」。
第2回では物選びのポイントや、溝口氏のギャラリーで扱う作品について伺った。
第1回 インテリアの歴史編は
こちらまずは日用品から自分の好きなデザインを知る
ギャラリー サイン溝口至亮さん Age 43
ピエール・ジャンヌレやジャン・プルーヴェなど、フランスのデザイナーをはじめ、柳宗理や丹下健三など20世紀を代表する建築家のオリジナル作品を扱う「ギャラリー サイン」を運営。インテリアの歴史や背景に造詣が深く、専門雑誌に多く寄稿する。
ノンネイティブ ・デザイナー藤井隆行さん Age 44「洋服とは、人生を投影するための道具である」をコンセプトに、実用性に特化したニューベーシックを発信。厳選した素材と機能で現代に寄り添ったデザインは業界内にもファンが多い。元来のインテリア好きが、溝口さんの存在でさらに開花。連載「
私的傑作批評」でも独自の審美眼を披露している。
藤井 高額なインテリアに手が出ない人は、何から始めるのがいいの?
溝口 そうですね、いきなり棚や椅子からではなく、食器から入ってもいいと思うんですよ。この料理をもっとおいしく食べるために、ちょっと良い食器を揃えてみよう、とか。おいしいコーヒーが飲みたいから、このエスプレッソマシンを買ってみよう、とか。そんな動機から動いてみては。
藤井 そして、そのマシンを黒にするか白にするか、空間に合わせるセンスも必要ってことですね。やっぱり空間の捉え方って大切だと思う。
溝口 そうですね。僕も空間のバランスがすべてだと思います。
藤井 好きなテイストがわかっても自宅の家具をまるっと入れ替えるのは無理だからね。あと、今のライフスタイルにも合わせていかなきゃいけないし。「この椅子、貴重だから座らないで」って子供に言うのもおかしな話だし。
だから、僕は服もモノもタフなものが良い。キズがついても“まぁ、いっか。味になる”と思えるものが好きです。高額だから大切にしたいのもわかるんだけど、使い込んで大事にするほうがずっと健康的。
溝口 一緒に住む人の理解も必要ですしね。
藤井 確かに。自分が好きでも、家族が使いにくかったら意味がない。そういう意味では、日本の家に住むのだから日本のインテリアデザインを学ぶのも手段ですね。
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