ユースケ部長も登場! 「イケオジ着回し物語」 Vol.16
2020.11.09
LIFE STYLE

圧倒的趣味人・井浦新さんの好奇心の源。本人が語った内容とは?

’90年代後期〜2000年代の原宿カルチャーを知る読者にとっては永遠の憧れである、俳優の井浦新さん。

今なお輝き続ける理由について、語ってもらった。

 

カメラなど数多くの趣味。それらに対する探求心はハンパない

永遠の憧れ「ARATA」。俳優・井浦新さんが語る、好奇心の根源とは

「コロナの自粛要請明けに、家族で久しぶりに自然の中で過ごしたことですね。カヤックにハマっていて、川でプカプカ浮いたりして。自粛期間中は家で過ごしていたので、改めて自然に触れることの大切さを感じました。

そこは活火山帯の山麓にある渓流だったのですが、水が青緑色なんです。なぜそんな色だったのかというと、火山山麓という土地柄、おそらく川には花崗岩が多く存在して、そこに硫黄や鉄分が多く含まれるからだと思うんです」。

これは、井浦自身の最近のFUNーTIMEについて聞いたときの答え。低音で落ち着き払った口調と専門的な言葉遣いは、まるで教育番組のナレーションのよう。

趣味はカメラ、登山、美術、音楽、寺社仏閣……。「井浦新」「趣味」と検索するだけで、膨大な数がヒットする。しかもそれらに対する熱量がハンパない、というより、好きの度合いが趣味の域を超えている。

言うなれば偏愛だ。井浦新のFUNーTIMEは偏愛に満ちている。そんな思いをぶつけると「そうかもしれないです」と、少しだけ相好を崩し静かに続ける。

「気になっていることを知ることで、より深求したくなるんです。これはすべて好奇心によるもの。自分を突き動かすものって何だろうと考えると、好奇心しかないんです。どれも時間と労力を要するので、自分でもこの時間を別の何かに使えたらなって思うんですけど(笑)」。

現在は、自身のアクティビティウェアブランド「エルネスト クリエイティブ アクティヴィティ」でも理想の服作りをしつつ、俳優としても活躍する姿は周知のとおり。井浦新は昔から変わらず格好いい読者の憧れ。みんなが「ARATA(井浦の旧芸名)になりたい」と思った。

今も変わらず読者を惹きつける魅力も、好奇心が根源にあるからなのだろうか。であれば、そもそも好奇心の源とは何なのだろう? 黙考したのち、井浦の口から出てきた言葉は実に意外なものだった。

「コンプレックスですね」。そう告げると、言葉を選びながら語り始める。

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コンプレックスの反動で気付いた、凡庸な自分が持つ最大の武器

「昔から秀でたものは持っていませんし、凡庸と言いますか、個性や特技が何もない、言うなれば無色透明。そんな自分が昔から本当に嫌で……。嫌だからこそ、少なくとも自分が興味を持ったことだけは、持ち続けていく執念深さみたいなものがあって。それがコンプレックスの反動による好奇心や偏愛だと思うんですけど。

例えば高校時代にファッションに興味を持ったら、自分で古着店マップを作って何度もショップ巡りをしたり、DJをやるわけもないのに、少しでもいい音楽に出合いたくてレコードを買い漁ったりして。これは無色透明の自分を自覚しているからこその行動なのだと思います」。

無色透明なものはいつか何色かに染まるのではと問うと、井浦は「若い頃ならこんな色に染まりたい、とか言っていたでしょうけど、今は一生染まらないとわかっていますから」と、苦笑交じりに続ける。

「あるとき、無色透明だからこそ、その時々で何色にも染まれるということに気付いたんです。特に、何かになりきるのが仕事である俳優とは相性がいいのかなと。新たな表現を常に模索できるし、今やっている役が自分の表現の中でいちばん新しいということを目指してやっていけるので。

もちろん、稀にいくつも自分の色を持っている天才がいますが、それは本当に稀。よく『自分は何ものでもない』と悩む人がいますが、僕を含めてほとんどの人は良くも悪くも無色透明かなと。でもそれって逆に考えれば何色にもなれるということですから、僕は無色透明でよかったと思っています」。

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ドラマ「殺意の道程」の見どころは、噛み合わないふたりのリズム感

コート4万3000円、カットソー6500円、デニム2万3000円/すべてエルネスト クリエイティブ アクティヴィティ、靴7000円/エルネスト×キーン(すべてマイトリー 03-6686-8138)

ドラマ「殺意の道程」で共演しているバカリズムは、芸人界では天才と呼ばれている稀有な人。そう話を振ると、井浦は首を大きく横に振る。ドラマの撮影中はずっと一緒だった井浦だからこそ感じたこととは何なのだろうか?

「ただの天才ではなく、努力ができる天才だと思いました。天才としての才能を活かすための努力を惜しんでいない。自分の仕事に対して満足しないし、常に挑んでいて。天才的なセンスを持っているから、それを活かすための努力と時間を惜しまない。だからこそ、いつも新たなものを見せてくれるのだと思います」。

そんなふたりの劇中の絡みは個性と個性がぶつかり合うことで、自然と生まれたものがあるという。

「微妙な間ですね。ときには引っ張ったり、また引っ張られたりっていう。僕のマイペースなリズムにバカリズムさんのスピードが空回りをする瞬間があったりして、その感じがよかった。バカリズムさんと、自分のリズムの違いを楽しむことができました」。

取材時間も押し迫ってきた中「最後にひとつだけ」と、聞いてみた。それは井浦が興味を抱いている、新たな偏愛物について。

「言語ですね。昨年末に台湾で仕事をしたのですが、現地の人も作品もすべて素晴らしくて。そのときに、世界中の言葉を覚えたらもっと喜びを分かちあえるのに、って思ってから、さまざまな国の言語について考えるようになりました。いろんな国の言語を話せるようになりたいです。これもまたすごく時間と労力がかかることですけど(笑)」。

井浦新の好奇心の強さは、やはりすごい。そして改めてわかったのは、憧れの“井浦新への道程”は、かなり長く険しいということだ。

 

井浦 新●1974年、東京都出身。’99年に公開の『ワンダフルライフ』で映画初主演。以降、映画を中心にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。WOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」が、本日11月9日(月)深夜0:00よりスタート。ある日、ひとりの男が取引会社社長(鶴見辰吾)の裏切りにあい自殺した。その息子(井浦)といとこ(バカリズム)は、社長に復讐を誓う本格サスペンス。

 

柏田テツヲ(KiKi.inc)=写真 上野健太郎(KËN OFFICE)=スタイリング 山口朋子(HITOME)=ヘアメイク オオサワ系=文

# インタビュー# 井浦 新# 俳優
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