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2020.11.07

ライフ

ポケマル代表・高橋博之が語る、「誰にも相談せず」決意したこと

高橋さんが、42歳の時に立ち上げた「ポケットマルシェ」は、生産者と消費者を直接つなぐオンラインマーケットだ。
「37.5歳の人生スナップ」とは…… 

「旅行」は目的地があってそこを目指して行くこと。「旅」はその時々の出会いで行き先が変わること。高橋博之さんの20代は「旅行」みたいな生き方だったという。

「目標があってそこに向かっていたけど、全然うまくいかなかったんですよね。人生まったく思い通りにいかない。それで、“今”の自分が置かれた環境で、思ったこと、やれることを全力でやろうっていう考え方に変えたら、人生の歯車が前に進み始めた。

行く先々でいろいろな出会いがあり、方向転換し、思いもよらないところにたどり着く。事業をやっていくってそういう旅みたいな生き方なんだと思います」。

高橋さんが42歳のときに立ち上げた「ポケットマルシェ」は、生産者と消費者を直接つなぐオンラインマーケットだ。

世なおしとしての、食なおし

現在、3500名以上の農家や漁師が登録しており、生産にまつわるストーリーとともに、それぞれが作る食べ物が並んでいる。コロナ禍で自宅で食事をする機会が増えるなか、ユーザー数は2020年の春と秋で比較すると4.5倍増の約23万人になった。

「スーパーで並んでいるものは安いほうを選んじゃうとしても、顔の見える生産者さんがどんなふうに作ったかを知ると、『高い!』とは思わない。ポケットマルシェはただの産直サイトではなく、生産者と消費者のつながりを深めることを目指しています。生産者と消費者をつなぐSNSなんです」。

例えば漁師は魚を売るだけでなく、さばき方や調理法を消費者に発信し、買った人からは「やってみた!」「おいしかった!」と報告が漁師に届く。

あるいは今年の出来具合を報告しながら消費者に値付けの相談をしたりする果物農家もいるそうだ。
(c)ポケットマルシェ
(c)ポケットマルシェ
「そうやって生産者と消費者がつながることで、地方が抱える課題と都市が抱える課題っていっぺんに解決できると思っています。世なおしは、食なおし、なんです」

高橋さんの中に、いつどうやってこの思想が生まれたのか、その人生を紐解いてみた。


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