37.5歳の人生スナップ Vol.134
2020.10.27
LIFE STYLE

インテリアデザイナーとドローングラファー。“2足のわらじ”でこそ得られるもの

「37.5歳の人生スナップ」とは……

>前編はコチラ

ドローングラファーとして活躍する中村 豪さん(写真上)が、ドローンと出合ったきっかけや撮影の仕事につながっていった流れを伺った前編。

後編ではもうひとつの顔であるインテリアデザインの仕事について、そしてその2つの“わらじ”のバランスの取り方についてのお話。

 

1つずつでも、チャレンジを積み重ね続ける

ドローン撮影の面白さと魅力が広く知られるとともに規制が始まり、誰でも自由に飛行・撮影というわけにはいかなくなった。

つまりは、ドローン撮影の世界はますますプロフェッショナルになったということ。その中で中村さんは第一人者としてますます現場に呼ばれるようになる。

2018年には、大河ドラマ「西郷どん」のオープニングでドローン撮影を担当。大自然を美しくダイナミックにとらえたオープニングの実写映像は話題となった。このときはオープニングだけでなく、劇中の撮影においてもドローン撮影を担当した。

「好きで始めて夢中になったものが、仕事として求められ、一個一個チャレンジを積み重ねていって、今に至っているという感じですね」。

そして、もうひとつのインテリアデザインというキャリアのスタートは、ドローンとの出合いよりかなり前に遡る。

そして、そのきっかけを中村さんが「すべては波乗りのために、なんですよね」というのは、サーフィンをする時間を自由に持つために選んだ仕事だからだ。

「サーフィンってコントロールできない自然が相手なので、自分がスケジュールを合わせられる働き方をしないとならないわけです。だから、普通に会社に勤めるということは選択肢になかったんです。

20代の頃には、いろいろなアルバイトをやりました。配送ドライバーや工事現場、レストランなど、基本、昼に自分の時間がたくさんあるというものが多かったかな。

一度、好きなことならいいのではと、サーファー向けに波情報を発信する会社に就職してみたこともありますが、波情報を見ていると自分が波乗りしたい気持ちが高まってしまうので、だめでした(笑)」。

NEXT PAGE /

共通点は「想像したものを創造する」こと

波乗りを中心においたライフスタイルを叶えるためのさまざまな仕事の中には、家業だった建築関係の仕事もあった。

家業を手伝ったり、ほかの建築会社を手伝ったりするなかで、もともと、モノ創りは好きだったということに気が付く。

「イメージしたものを創り出すということが好きだったんですね。それはドローンの撮影にも通じるかもしれません。見たことのない視点からの風景をどんなふうに見えるかなと想像して、実際に映像にして届けるわけですから」。

そして32歳のときに、住宅や店舗の設計施工を行う会社を立ち上げた。会社を立ち上げるということに不安はなかったかと訊ねると、それは感じなかったと中村さん。

10代のころからサーフィンの世界で生きてきて、「好きなことをするために自由な働き方をしている大人たち」、例えば、フリーランスや自営業の大人たちを見てきたからだという。

「だから、自分もやるぞ、できる、というポジティブなイメージしかありませんでした。それに、ある仕事があったとして、自分ひとりではできなくても、それぞれに得意分野を持っている仲間がいます。

自分のできる範囲を超えた仕事でもできないことはないと思っているので、『できないです』と言ったことはないですね」。

最近は、海岸環境の保護を目的に活動する「サーフライダーファウンデーションジャパン」のギャラリーを製作。環境保全やSDGsをテーマにした、サステイナブルな空間づくりを目指した。

NEXT PAGE /

2つの世界を行き来するからこそ手に入れること

すべては波乗りのために。そしてすべては波乗りから。そうやって手に入れた二足のわらじを、中村さんは現在ちょうど半々ずつくらいの割合で履き替えているそうだ。

ではその二足のわらじの履きこなし方は?

「撮影の仕事を始めて、いろいろな街へ行き、いろいろなものを見ることができることは、インテリアデザインの仕事に役立っていると思います。何より、2つの仕事を行き来することで、すごくいい気分転換になるんです。

建築の仕事でしばらく同じ現場にずっとこもってモノ創りしていると、どこかに行きたくなるわけです。そうすると撮影の仕事が入って、作る仕事へのモチベーションが上がる。もちろん、その逆もあります。大きな景色の中で撮影していると、モノ創りしたいなあ……と無性に思ったりする(笑)。

大変なのはスケジュール管理くらい。だから今はもう、仕事がどちらかひとつというのは考えられないですね」。

中村さんが手に入れたのは、サーフィンという生き方を叶えるための、二足のわらじ。その履きこなし方は、実に自然体だった。

プロフィール
中村豪(なかむらごう)●1975年神奈川県鎌倉市生まれ。サーフィンを生活の中心に据えたライフスタイルを送る、インテリアデザイナー/ドローングラファー。株式会社nadaの代表として店舗や住宅の設計設備を手がける傍ら、メディアや行政などさまざまな業界から依頼を受けて、ドローン撮影を行う。2018年には大河ドラマ「西郷どん」のオープニング撮影と劇中撮影を手がけ、オープニング制作を担ったメンバーとクリエーター集団「L.S.W.F(リンクhttps://www.lswf.co/)」を立ち上げる。

「37.5歳の人生スナップ」
もうすぐ人生の折り返し地点、自分なりに踠いて生き抜いてきた。しかし、このままでいいのかと立ち止まりたくなることもある。この連載は、ユニークなライフスタイルを選んだ、男たちを描くルポルタージュ。鬱屈した思いを抱えているなら、彼らの生活・考えを覗いてみてほしい。生き方のヒントが見つかるはずだ。上に戻る

取材・文=川瀬佐千子 写真=中山文子

# 37.5歳の人生スナップ# ドローングラファー# 中村 豪
更に読み込む