20代から好かれる上司・嫌われる上司 Vol.28
2020.10.09
LIFE STYLE

副業を安易に推奨する上司は20代から嫌われる

副業を安易に推奨する上司は20代から嫌われる

「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……

まだまだ副業は増えていない

副業が社会的にも受け入れられる雰囲気になってから久しく、会社側から副業を認める制度を作ったり、上司も部下に対して「外で修行してこい」と副業を勧めるような言動をする人もいたりするようです。しかし、実際に行っている人は多くはありません。

総務省「就業構造基本調査」によると2017年時点でも4%と10年以上横ばいの状況です。フリーランス人口は1100万人以上(労働人口の約17%)と徐々に増えているのですが、就業者はそこまで増えていません。そう考えると、「そもそもみんな副業をしたいのだろうか」という疑問が生まれてきます。

 

今のところ副業は「仕方なく」やるもの

リクルートワークス研究所の2019年の調査によると、「副業をしたい」と考えている人の61.5%が「生計を維持する(生活費や学費を稼ぐ)ため」であり、59.3%が「生活を維持する最低限の雇用以外に、貯蓄や自由に使えるお金を確保するため」でした。いわば「必要だから仕方なく」副業をしたいという人が大半のようです。

一方で、世の中で副業をすべき前向きな理由としてよく言われる「新しい知識や経験を得るため」(22.0%)、「さまざまな分野の人とつながり人脈を広げるため」(15.6%)、「自分の知識や能力を試してみたいため」(15.0%)は、多くて2割程度という状況です。

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本音は「本業でもっと稼ぎたい」

つまり、実際に副業をやっている人、やりたいと思っている人の本音は、「本当はややこしい副業などせずに、本業だけでもっと必要なお金を稼ぎたい」ということではないかと思います。

さらに最近では、いわゆる「働き方改革」の一連の法改正で、2020年4月からは中小企業においても、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間を超えることができなくなりました。

そうなると、仕事をたくさん抱えて、残業を頑張って給料を上げることもできなくなり、その結果、いわばアルバイト的な副業をしなければならなくなっているということに陥っている人も増えているのではないでしょうか。

 

「副業をしたら」と言う前にすべきこと

そう考えると、明るく「副業をしたら」と言う上司が部下から冷ややかな目で見られるのもわかります。彼らはもっと今の仕事で成果を出して、もっと報酬が欲しいのです。

ですから、上司は副業してはなどと言っていないで、今の仕事で彼らが活躍できるような支援をすることが先です。

具体的には、能力開発の支援をしたり、適材適所を考えて成果を出しやすくしてあげたり、チャンスを与えてチャレンジをあげたりするようなことです。そして、部下の給料を上げてあげることが上司の役割です。自分の部下の給料を上げてあげられない上司は、まずそこを頑張るべきなのです。

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前向きな「副業」をするためには

副業を単なる給与の埋め合わせのために仕方なくするのではなく、もっと前向きにできるようになるためには、要は「副業」が「本業」での成果や能力開発、ひいては報酬アップに寄与するものにならなくてはなりません。

ですから、上司として部下に本当に副業を勧めるのであれば、この観点からアドバイスをすべきです。より具体的に「こんな副業をしたら今の仕事にこう役立つよ」「こんな能力が身につくよ」「こんなネットワークを得ることができるよ」というようなことです。

副業で稼ぐことを目的とせず、副業によって本業での成果や能力がアップすることを支援してあげるのです。

 

まず自分から副業してみてはいかがでしょうか

実際、自社では経験できないことを他社で教育出向というような形で経験させるような人事制度がある会社もあります。以前いたリクルートではディズニーやブックオフなどに、ブランディングや物流を経験しに出向した人もいました。ですから副業でしか学べないことも実際あるはずです。

ただ、難しいのはその「自社でできない仕事経験」がどこにあるか、です。それを知るためには、上司自ら、副業でなくともボランティアでもなんでもいいので、外へ出て、会社外で何かやってみてはどうでしょうか。

育休を取って子育てをする、でもいいかもしれません。そうでもしなければ、副業の価値などわかりはしないでしょう。

 

連載「20代から好かれる上司・嫌われる上司」一覧へ

「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは……
組織と人事の専門家である曽和利光さんが、アラフォー世代の仕事の悩みについて、同世代だからこその“寄り添った指南”をしていく連載シリーズ。好評だった「職場の20代がわからない」の続編となる今回は、20代の等身大の意識を重視しつつ、職場で求められる成果を出させるために何が大切か、「好かれる上司=成果がでる上司」のマネジメントの極意をお伝えいたします。
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組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス
『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。

石井あかね=イラスト

# 20代から好かれる上司・嫌われる上司# 副業
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