従来の型にはまらない、新たなライフスタイルが求められる今。「セカンドハウスを持つ」ことで職遊融合の暮らしを実践している人たちにインタビューを行った。
まず訪ねたのは神奈川県葉山の家で休日を過ごす大附さん。「週末は葉山の家へ行く。そうして日中を海で過ごすと平日まで充実するんです」。
その真意に迫ろう。
金曜の夜、海の近くのセカンドハウスへ
大附さん夫妻はどちらも都心のIT系企業に勤める。平日は都内のマンション暮らし。そして1年ほど前から、金曜の夜に車で1時間半ほどの葉山の家へ向かい、週末を過ごすようになった。
海までは歩いて1〜2分。国道を渡るのではなく、公園を通ってビーチに着く立地が気に入っている、と妻の知子さんは言う。
「もともと海が好きで、毎年のように沖縄本島や宮古島、屋久島などに旅行へ行っていました。忙しい日々から離れ、波の音や潮風に癒やされる時間が必要だったんですね。そのうち、もっと海を日常的に感じたい、海の近くに拠点があるといいね、と話すようになって」。
知子さんの実家は鎌倉。克年さんはかつての職場が横須賀で、もともとこのあたりには馴染みがある。土地探しを始めてしばらくして、海沿いの公園を目の前にした今の土地が売りに出されているのを見つけ、即決した。
建てた家には、玄関とトイレ以外、部屋を仕切る扉がなくバスルームさえオープンな空間になっている。内と外の境界がほとんどない、海の家のイメージだ。
「金曜の夜8時か9時くらいに着き、翌朝は7時くらいに起きて犬と一緒に海岸を散歩します。帰りに近くのパン店でパンを買い、朝食を食べたらカヤックを持ってまた海へ。
15時くらいに帰ってきて、ビールとワカモレなどでひと休み。天気が良ければ屋上で夕日を見ながら飲んでいます。その後、また犬と散歩を1時間くらい。7時くらいに夕食の準備を始め、食後はワインを飲みながら本を読んだり、ヨガをしたり。
テレビを置いていないし、ここでの生活はよく動く。東京とは時間の使い方が全然違うんです。そのせいか、体重もちょっと減ったみたい」と知子さん。
見ると足元は2人とも素足で、そのまま芝生の庭を犬と走る様子が、なんとも気持ち良さそうだ。
日曜は昼過ぎに東京へ戻る。翌日からの日常に備え、なるべく早い時間にオフからオンへ頭と体を切り替えるという。そんな生活を1年近く送ってきたものの、ここ数カ月で事情が少し変わった。
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