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2020.07.26

ライフ

『男のエプロンの本』著者が語るエプロンの魅力「使うことで育つ味がある」

キッチンで自然と身に着ける、もしくは目に入るエプロン。でも改めて意識してみると、案外知らないことが多い。発祥は? 歴史は? そして、僕ら男に相応しい一枚って?
エプロンなんて面倒だからしないよ、なんて人もご一読を。
 

自分らしいモノを選ぶために、男のエプロン学

これまで、いやもしかすると今も、台所でのエプロン姿といえば女性のイメージかもしれない。しかし『男のエプロンの本』の著者、嶋﨑さんは断言する。男には男のエプロンがあると。
「装飾を極力省いた機能性の高いエプロン。それが僕のなかでの“男のエプロン”です」。
『男のエプロンの本』
『男のエプロンの本』には嶋﨑さんが自ら製作したエプロンが多数収録されている。
そもそもエプロンとは、1枚の布を紐だけで身体に巻き付けた衣服が原型とされ、時代が進むにつれて誕生する“新しい職種”に合わせて進化を遂げてきた。だから料理人に限らず、職人や商人などからも愛用される。つまりエプロンは単なる作業服にとどまらず、着用者の人となりを表すツールとも捉えられる。
実際、嶋﨑さんが本を作ったきっかけは、エプロン姿の職人に底知れない魅力を感じたからだという。
火や刃物を扱うタフな作業現場用の革エプロンからは、特に大きな影響を受けた嶋﨑さん。それらの系譜を紐解き、自ら新たにワーカーエプロンとして開発したもの。
「さまざまな人のエプロン姿を収めたアウグスト・ザンダーの写真集を見ていて、ハッとしました。諸説ありますが、ソムリエにとってのエプロンは瓶詰めの作業がしやすい皮革製のタブリエ(前掛け)の名残りで本革製が正式だったり、溶接作業員のエプロンは簡単に引火しないよう牛の床革が使われていたり。
そういった背景を調べていくうちに、男性がキッチンに立つ際に相応しいエプロンが見えてきたんです」。


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