夏まで待てない……「Tシャツ」大特集! Vol.72
2020.07.26
LIFE STYLE

『男のエプロンの本』著者が語るエプロンの魅力「使うことで育つ味がある」

キッチンで自然と身に着ける、もしくは目に入るエプロン。でも改めて意識してみると、案外知らないことが多い。発祥は? 歴史は? そして、僕ら男に相応しい一枚って?

エプロンなんて面倒だからしないよ、なんて人もご一読を。

 

自分らしいモノを選ぶために、男のエプロン学

これまで、いやもしかすると今も、台所でのエプロン姿といえば女性のイメージかもしれない。しかし『男のエプロンの本』の著者、嶋﨑さんは断言する。男には男のエプロンがあると。

「装飾を極力省いた機能性の高いエプロン。それが僕のなかでの“男のエプロン”です」。

『男のエプロンの本』
『男のエプロンの本』には嶋﨑さんが自ら製作したエプロンが多数収録されている。

そもそもエプロンとは、1枚の布を紐だけで身体に巻き付けた衣服が原型とされ、時代が進むにつれて誕生する“新しい職種”に合わせて進化を遂げてきた。だから料理人に限らず、職人や商人などからも愛用される。つまりエプロンは単なる作業服にとどまらず、着用者の人となりを表すツールとも捉えられる。

実際、嶋﨑さんが本を作ったきっかけは、エプロン姿の職人に底知れない魅力を感じたからだという。

火や刃物を扱うタフな作業現場用の革エプロンからは、特に大きな影響を受けた嶋﨑さん。それらの系譜を紐解き、自ら新たにワーカーエプロンとして開発したもの。

「さまざまな人のエプロン姿を収めたアウグスト・ザンダーの写真集を見ていて、ハッとしました。諸説ありますが、ソムリエにとってのエプロンは瓶詰めの作業がしやすい皮革製のタブリエ(前掛け)の名残りで本革製が正式だったり、溶接作業員のエプロンは簡単に引火しないよう牛の床革が使われていたり。

そういった背景を調べていくうちに、男性がキッチンに立つ際に相応しいエプロンが見えてきたんです」。

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使うことで育つ楽しみ

大工の道具入れをイメージしたカーペンターエプロン。飾り気のない佇まいがクール。

嶋﨑さんの考える男性用エプロンの条件としては、耐久性の高さが鍵を握る。タフなワークウェアが男に支持されるのと似た理屈だ。同時に、一般的な服以上に実用的なアイテムとして、“使う”ことで育つ楽しみがあるようだ。

キッチンエプロンは、ワッフル素材のタオルをモチーフにアイデアを起こした。

「機能的で長く使えることが前提ですが、台所に立つうちに汚れたり、ときには焦げたり。そういった変化が味となり、独特の雰囲気や重厚感が出てくる。その過程も、着用者ならではのものとして特別な意味を持つでしょう」。

酒屋エプロンと題したこちらは、廃船の帆をリサイクルした「帆前垂れ」という日本の伝統的なエプロンがベース。

服であり道具であり、着用者そのものとさえ言えるエプロン。だからこそ男には男の、あなたにはあなたのエプロンが必要なのではないだろうか。

嶋崎隆一郎●デザイン会社勤務を経て無印良品のメンズデザインを担当。独立後は自身のブランドで東京コレクションにもデビューした。2008年に男性用のエプロンを考察した左の『男のエプロンの本』(文化出版局刊 ※現在は絶版)を上梓。ほか、『男のシャツの本』『男のコートの本』(ともに文化出版局刊)など著書多数。

鈴木泰之=写真 増山直樹、菊地 亮=文

# エプロン
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