前編の続きロンドン五輪フェンシング銀メダリスト、三宅 諒。TOKYO 2020の延期を受け、スポンサー契約を一旦打ち切った彼は、「Uber Eats」の配達員生活を選択した。そんな彼の直近の目標は、宅配バッグを降ろし、今の生活から脱出すること。そして東京五輪への出場を果たすことだ。
2021年に向けて描くビジョンに迫った。
次なる展開は「言葉の剣士」
「練習が本格的に始動すると、Uber Eatsで働く時間もなくなっていくだろうなと思います。それでも収入は必要ですからね。次に考えているのは、例えばYouTube。アスリートとしてのメンタリティやフェンシングの技術をオンラインで発信していきたいと考えています」。
日頃から“言葉”を大切にしているという三宅。コロナ禍が終息したら、講演活動も積極的に展開したいという。
大学で文学部の哲学科を専攻していた三宅は、ファンから“ピスト上の哲学者”と呼ばれている。実際、インタビューの受け答えも常に理路整然としていて、発言には一切の迷いがない。とても29歳という若きアスリートのものとは思えないが、本人にその自覚はないらしい。
「久しぶりに『若い』なんて言われました! 僕なんて、アスリート界ではもうおじいちゃんですよ(笑)。男子も女子も、フェンシングのフルーレの平均年齢は22〜23歳。前線では18〜19歳の子も主戦力になっていますから」。
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