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挫折知らずのエリートが歩んだ道

トレーニングを兼ねて配達員として働く三宅選手。©️コモンズ2
5歳でフェンシングを始めた三宅。そのキッカケには運命的なものを感じているそうだ。
「当時スイミングスクールへ通わされていたのですが、実は未だに泳げないくらい水泳が苦手でして。でも、辞めたいのに親に言い出せなかったんです。ただ、通っていたのがいろんな競技を教えるカルチャースクールだったので、『別の競技に移れば許してくれるかも』と閃いた。そこでたまたま選んだのがフェンシングだったんですよ」。
当初はスイミングを辞める口実で始めただけのフェンシングだったが、水泳とは打って変わってメキメキと上達。幾度となく日本一に輝き、21歳にして五輪銀メダルを首に掛けた。
「正直、挫折はしたことがないんです。メダルを獲るまで順風満帆のエリートコースでした。でも、メダルを獲ってからはたくさん苦労をしましたね。僕からすると、メダルを獲り続ける人はバケモノです(笑)。もちろん、自分もまた獲りたいし、勝ちたい気持ちはずっとあります。でも、モチベーションを保ち続け、さらに強くなるのは簡単じゃない。彼らはなぜそれができるのか。相当な努力と精神力が必要ですよ」。
三宅は「挫折と苦労は別物だ」と言うが、苦労を並々ならぬ努力で乗り越えてきたからこそ「挫折知らずのエリート」になれたのだろう。
現在はスポンサードもなく、周りには怪物もいる。それでもこの挫折知らずの剣士は、またひとつずつ困難を乗り越えていくに違いない。メダリストという大きなプライドにさえ固執せず、日々自転車を漕ぐ姿からは、やはり常人とは違う大器を感じざるを得ない。


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