2020.04.06
LIFE STYLE

魔の“入社3カ月”を乗り切れ! 新入社員をやる気にさせる4つの対策

「備えよ。俺も、新学期」とは…

夫婦は結婚3年目に危機を迎えるというが、新入社員は入社3カ月が危ないらしい。

「6月頃に辞める新入社員が多いのは、“リアリティショック”という問題に直面するからです」と語るのは曽和利光さん。オーシャンズウェブの人気連載【20代から好かれる上司・嫌われる上司】でお馴染みの組織と人事の専門家だ。

彼らが入社3カ月で経験するリアリティショックとは何か。そのとき上司はどう接するべきか。曽和さんに教えてもらいましょう!

曽和利光さん
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長。1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。

入社3カ月で直面するリアリティショックの正体

リアリティショックとは、新入社員が職場に抱いていた理想と現実のギャップにショックを受けることです。ある採用メディアの調査で、新入社員の約6割が「感じたことがある」と回答するぐらいポピュラーなもので、決して弱い人だけがなるわけではありません。

いわゆる“5月病”と同じと考えてよいでしょう。ちなみに、最近は5月のGWを満喫し、祝日のない6月にガクッと気落ちするようで、一部では“6月病”とも呼ばれています。

文句が言いたいわけではなく自信を失った状態である

上司からすると、「最近の若者が『やりたいと思っていた仕事と違う』と文句を言ってるだけだろ?」 などと思うかもしれません。しかし、そうではなく、多くの新入社員は「自分はもっとできると思っていたのに……」と社会人としての自分の能力の低さを痛感し、職場の人間関係や雰囲気に馴染めないと自信をなくしている状態なのです。

不満があるわけではないので、実際、「会社に行きたくない」「焦る」「将来が不安」「辞めたい」という気持ちがほとんどです。

SNSの普及で、自信を持つのが難しい世の中に

今の新入社員はソーシャルネイティブ世代などとも呼ばれており、常時友人や社会とソーシャルメディア上でつながっています。それによってもともと日本人に強いとされる同調圧力(周りの意見に合わさせること)や社会的証明(世間での評判を気にすること)という意識が強化され、副作用として自信を持つことが難しくなっていると考えられます。

基本的にみんなソーシャルメディアにはポジティブな成果ばかりアップするので、どうしても自分と比べてしまい「僕(私)なんてたいしたことない存在なんだ」と感じやすいのです。

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上司は“チアリーダー”になるべき

このような若者のことを情けないと思ってはいけません。時代が違うだけなのですから。我々が20代だった頃には、ソーシャルメディアは普及しておらず狭い世界だけで生きていました。井の中の蛙大海を知らず。つまり御山の大将だったため、根拠のない自信を持てたのではないでしょうか。

「自信のないやつはいらん」と言うのではなく、そんな時代に生まれた彼らを、チアリーダーとして元気づけてあげることが大事

そして、彼らが自信=自己効力感を得られるように、上司は①成功体験、②代理経験、③言葉による説得、④情動的体験という4つのアプローチから手助けをしましょう。

①成功体験

まずは成功体験を積ませてあげること。とはいえ新入社員がすぐに仕事で成功を収めるのは難しいと思います。では、過去にどんな成功体験をしたか聞くのはいかがでしょう。

彼らだってこれまでの人生で成功した経験は何度もあるはず。過去の話を聞き「あなたはそんなすごいことをしてきたのか」とフィードバックすることで、自分も結構頑張ってきたんだからと自信につながります。

②代理経験

新入社員に、成功している先輩=ロールモデルを観察させ、自己効力感を高めるのもいいでしょう。新人の頃は上司や先輩の商談などに同行しノウハウを学びますが、実はこれも代理体験の一例です。

社内で新入社員が親近感を抱きそうな先輩を見つけてあげ、その先輩がどんなことをして成果を上げているのか、行動を観察させてはいかがでしょうか。結果、「あれぐらいなら自分もできそうだ」「自分はもっとできるかもしれない」と自信を持てるかもしれません。

③言葉による説得

これは、簡単に言うと“第三者による励まし”のことを指します。

人は褒められたり、励まされたりすると、自己効力感が高まります。ダメ出しばかりするのではなく、松岡修造さんのように「君ならできる!」と励ますことも大事。ただ、根拠もなくポジティブなことばかりを言ってもわざとらしく聞こえ、逆効果な場合があります。日々、彼らのことを丁寧に観察し、「そういう君なら、きっとできるはずだ」と根拠を示しながらポジティブフィードバックを行うことで、相手に気持ちが伝わると思います。

④情動体験

情動体験とは、気持ちが高まる映像を見たり音楽を聴いたりすることで、自分自身に「今ならできるような気がする!」という刺激を与えることです。彼らの心が浮上するような映画や音楽を勧めてあげてはいかがでしょう。

これはいちばん手軽な方法といえます。ただ、映画『ロッキー』の主題歌など、オッサン世代がアガる懐メロを勧めるのはやめたほうが無難です(笑)。彼らと同世代の若手先輩社員に勧めてもらうのがいいでしょう。

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元気が出たら、仕事の意味づけをしてあげる

新入社員が前向きになったときがチャンスです。次に、彼らが携わる仕事について、ぜひ意味づけのサポートをしてあげてください。

今は、若いうちから自分のキャリアの意味について考えさせられます。「自分は何がしたいのか」「どうなりたいのか」「そのためには何を経験し、身につけなくてはならないのか」と自問自答し、さまざまな人からも問いかけられています。それなのに、会社に入ると「とりあえずやれ」「やればわかる」「石の上にも三年」と言われ、彼らからすればまるで“無意味地獄”です。これを解決してあげましょう。

重要な3つの観点からの仕事の意味づけ

このとき重要なのは仕事の意味を教えること。具体的な仕事の流れや手順、コツを教えることではありません。自社のビジネスモデルや経営戦略でもありません。新人にとって重要なのは“社会的意義”、“知的好奇心”、“能力開発”の3つの観点での意味づけです。

つまり、この仕事は「誰にどう役立っているのか」「どこが面白いのか」「どんな能力が身につくのか」ということです。

特に最後の能力開発=成長できるかは、彼らが会社を選ぶ際に重視するポイントなので、必ず伝えるべきでしょう。

「オープンマインド」になってもらえればベスト

さて最後は、新入社員が「オープンマインド」になれるようサポートをしましょう。前述のように彼らはキャリアを強く意識して育てられ、その副作用で視野が狭くなっていることがあります。

キャリアをデザインすれば、そのとおりに進みたいのは当然ですが、人生思いどおりにはいきません。ですが、理想と違う仕事にも好奇心を持って取り組み、自分の意外な一面を発見するぐらいの「オープンマインド」が今の時代には必要なんです。

そのためにはイケてるキャリアを歩む上司が、実は計画どおりの人生ではなく、偶然をチャンスに変えた結果今があると教えてあげることが大事です。自分の意図しない仕事も、自分の可能性を発見する作業なのだと意味を見出せれば、前向きに仕事に取り組めるのではないでしょうか。

心が弱っているときにはウザい上司の経験談も、元気になったときであれば、素直に聞くこともできるでしょう。このタイミングでぜひ経験豊富な上司である皆さんが、彼らに自分のキャリアを語ってあげてはいかがでしょうか。

 

岡本卓大=写真 曽和利光=文

「備えよ。俺も、新学期」
ピカピカの新入社員が入社してくる4月。我々は彼らと上手く付き合うためにどんな備えをしておくべきか。大人も新学期を迎える今、知っておきたい新入社員と向き合うための豆知識。上に戻る
# 上司# 人事# 新入社員# 理想の上司
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