学生時代、愛読していたスノーボード誌にカリフォルニアでの最先端シーンが載っていた。当時はニュースクールと呼ばれるムーブメントが起きていて、スノーボーダーたちは雪上でスケートボードのようなトリックを披露していた。
まだ日本の雪山では見られないその模様を何度も喰い入るように読んでは、同時に載っていたスケートボード特集にも関心を深めていった。カリフォルニアのスケーターたちが“今この瞬間を最大限の情熱で生きる”といったふうに激しいアクションを繰り出していたのだ。
そんな彼らを記事化したのがデビル西岡こと西岡昌典氏。記事には伝える者としての使命が感じられ、見たことのない光景と触れたことのない生き様がリポートされていた。かように1970年代からアメリカ西海岸の文化を日本に紹介してきた氏は、まさに“外の世界”を教えてくれた人。亡き後、初めて発売されたアートブック『NISI』には奔放に生きた氏のアートと写真と言葉が綴じられている。
memo1980年代後半から’90年代にかけて、サーフィン、スノーボード、スケートボードのカルチャーはクロスオーバーしていた。最新トレンドはカリフォルニアで生まれ、シーンの中心から西岡氏は発信。それは、かのドッグタウンが伝説的カメラマンのグレンE・フリードマンによって世に知られたことに似る。スケーター、サーファー、編集者、アーティスト、ジャーナリストとしての意欲的な活動は、2014年の逝去まで続いた。
横山泰介=写真 小山内 隆=編集・文