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2020.02.03

ライフ

アートディレクター・小杉幸一(39)が、「自分の色」を見つけるまで

>連載「37.5歳の人生スナップ」を読む
小杉幸一
「会社の暖簾を外したとき、自分は必要とされる絵の具の一色になれるのか。それだけが不安だった」。
表参道の路地を進んで数分、自身のアートワークに囲まれたオフィスで、アートディレクター小杉幸一さんは独立への不安をそう語る。
PARCOの「パルコアラ」、SUNTORY「特茶」、SUZUKI「ハスラー」、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」のロゴデザインなど型にはまらない広告のアートディレクション、クリエイティブディレクターとして広告業界を牽引してきた小杉さん。昨年、長年勤めていた大手広告代理店・博報堂を退社し、独立したばかりだ。
「正直、辞めることはめちゃくちゃ不安でした。ひとりになったとき、例えば仕事相手にとって自分が絵の具の中の何色として手に取られるのかはわからない。絵を描く時って、よくわからない色では、手に取られにくいじゃないですか。だから組み合わせ次第で何色にでもなれるような色がいい。みんなに使ってもらえる原色でいたいですね」。
日本を代表する大手広告代理店を辞めて7カ月が経った。「自分が何色になるか」を模索する小杉さんの仕事、作品づくりは「自分らしさ」との葛藤の連続だったという。


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