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2020.01.28

ライフ

専門アドバイザーが指南する、賢い奨学金のコツは「貯金を手元に残す」

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連載「賢い借金」
ローンや借金というと、ネガティブに捉えがち。でもちょっと待った! 借金とは、いわば“未来のお金を先に使うこと”。使い方次第で利用価値は大いにある。家やクルマといった大きな買い物も増える年代。一度フラットに借金を考え直してみよう。
   賢い借金
子供が進学する際、「奨学金」を借りる人は増えている。最近のデータでは、大学生の2.7人に1人が、返済の必要がある奨学金を借りているほどだ(2017年時点)。
奨学金も、あくまで“借金”のひとつ。賢く借りれば子供の進学をサポートできるかもしれないし、間違えれば卒業後の子供にとって返済が重荷になるかもしれない。そこで、前回に引き続き奨学金アドバイザーの久米忠史氏に取材。奨学金の賢い活用方法を聞いてみた!
久米忠史
株式会社まなびシード 代表取締役。2005年頃から始めた保護者・高校生向けの奨学金ガイダンスが評判を呼び、現在は全国で講演している。進学費用対策ホームページ「奨学金なるほど!相談所」も開設。今年1月には最新の著書『奨学金まるわかり読本2020』(合同出版)を発刊。
 

低金利の奨学金、その使い方のコツは?

賢い借金
--前回、奨学金の考え方をキッチリうかがいました。そのうえで、やはり親が悩むのは「借りるべきかどうか」。率直に借りたほうが得なのか、知りたいです!
もちろん、借りないに越したことはありません。とはいえ資金が潤沢な家庭は決して多くないですし、もし少しでも不安を持っているなら、借りる選択肢もあるのではないでしょうか。
特に考えてほしいのは、今から進学する子のほかに下の子がいるご家庭。「今は足りる」と思っていても、2人目の進学時期を迎えて「やっぱり借りておけば良かった」と後悔するもしれませんから。
--少しでも不安なら借りるべき、と……。
前も話したように、奨学金をきちんと返している人は97.4%います。そして何より、有利子のものでも利息が非常に低い。奨学金は金利が一定の「利率固定方式」と、金利が変わる「利率見直し方式」がありますが、今はマイナス金利の影響で特に低いんですね。昨年12月時点でも、固定方式が0.156%、見直し方式は0.004%です。
--ほかのローンと比べると、かなりの低金利ですね。
そうですね。世の中には「教育ローン」もありますが、例えば国が母体となる日本政策金融公庫のもので1.66%。これが教育ローンの最低水準と考えてもらっていいので、やはり奨学金は魅力ですよね。ですので、賢く活用するのが大事だと思いますよ。
--奨学金の「賢い活用」とは……。教えてください!
ひとつのケースを例に説明しましょう。ある家庭で、子供が大学に進学するとします。この家庭では、両親が学資保険などで200万円貯金していました。
さてこの場合、大抵の方はこう考えます。まず貯金の200万円をすべて進学費用に使って、足りない分を奨学金で補おうと……。
--そうですね、何か問題があるんでしょうか。
問題というより、もっと賢いやり方があります。まず200万円から、進学の初期費用をいったん払います。初期費用とは、入学費やお子さんがひとり暮らしを始める場合の引っ越し代ですね。
このとき、初期費用に100万円かかって、手元に100万円残ったとします。大切なのはここから。残り100万円は授業料に使わず、いったん貯金に回してください。授業料は、奨学金を借りて補いましょう。


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