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「繰上げ返済」の有効活用がポイント

賢い借金
--手元にお金があるのに奨学金を借りるんですか?
はい。満額借りてもいいと思います。学費はあくまで奨学金で払うイメージです。そして大切なのは、学校に通っている期間に両親がふたたびお金を貯めること。現在の100万円から少しでも増やします。
--でも、貯金があるのにお金を借りるのはもったいなくないですか。
普通のローンならそうでしょう。借りた日から利息が発生するため、返済額が日に日に膨らみますから。実際、教育ローンは借りた日から利息が発生します。
しかし奨学金は、在学中に利息が発生しません。大学生なら4年間は借りた金額のままです。その特徴を利用して、まずは手元の貯金を増やすんです。そして、最後にその貯金を「繰上げ返済」に活用します。
賢い借金
--繰上げ返済とは?
奨学金は、卒業時にまとめて一定量を返済できます。これが繰上げ返済で、銀行とは異なり繰上げ返済の手数料も無料です。その分、卒業後の返済総額は少なくなりますし、返済期間も短縮されます。もちろん、卒業するまでは利息もついていないので、単純に借入額が少なくなるイメージです
--なるほど。
例えば、お子さんが在学している間に両親が50万円を貯め、合計150万円の貯金になったとしましょう。そのお金を卒業の直前、まだ返済期間が始まらない(利息が発生しない)うちに150万円を繰上げ返済します。
この方法のメリットは、手元にお金を残した状態が長くなること。もしお子さんが大学院に行く場合、あるいは下の子がまた進学する場合、手元にお金を残すことはメリットになります。
--どういうことですか?
下のお子さんがいる場合、手元の貯金をすべて使うのは不安ですよね。また近いうちに入学資金が必要になるかもしれませんから。であれば、奨学金を使ってなるべく手元のお金は残す。そして、次の子に備える。そういう意味です。繰上げ返済をするのは、本当の意味で家族全員のメドが立ったときです。
--なるほど。手元のお金をすべて使わず、今後のためにある程度は残しておくと。そしてメドが立ったところで繰上げ返済をするわけですね。
そうです。先ほども話しましたが教育ローンとの違いはその点です。教育ローンは親が主体で借りて、借りた日から利息と返済義務が発生します。しかし奨学金は、大学なら4年間は利息が発生せず、返す義務もありません。
特に今は、大学院まで行く学生も増えています。理系の学生は顕著ですよね。だとすると、大学院への入学でまたお金がかかるかもしれません。今後の思わぬ出費に対応できるよう、手元にお金を残しておくのが得策です。繰上げ返済のシステムがあるからこそ、それができるのです。


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