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2019.12.26

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雑草からスタートした箱根駅伝監督が、陸上から離れられない理由

前田康弘
「僕は雑草からスタートしたランナーです」。
そう話すのは國學院大学・陸上競技部で監督を務める前田康弘さん(41歳)だ。当時最年少の31歳で駅伝監督に就任し、丸10年。今年は全日本、箱根と並ぶ三大駅伝のひとつである出雲駅伝で優勝を果たした。まさに今、ノリにノッている大学駅伝の監督として、2020年の箱根駅伝にかける思いは人一倍熱い。
「今度の箱根駅伝はターニングポイントになると思います。しっかり結果を残して高校生たちにメッセージを届けたい」。
取材時、箱根駅伝を目前に控えた國學院大学陸上競技部の寮は、静かな緊張感に包まれているように感じた。いたるところに選手たちへの激励のメッセージや、日々の練習の記録が張り出され、その中には「出雲駅伝優勝」の文字もあった。
前田康弘
箱根駅伝本番に向けて選手たちの体調にはもっとも気を使う時期。と同時に、すでに新たな選手候補探しも水面下では始まっているという。
「全国の高校から陸上で優秀な高校生を見つけてスカウトしなきゃいけない。監督就任当初は、まず彼らを指導している先生が僕よりも遥かに年上なので、非常にやりづらかったですね」。
そう言って笑う。今ではすっかり大学駅伝の監督として広く知られる存在となったが、就任当時の10年前は、若くして指導を行う前田さんに風当たりが強いこともあった。預けて大丈夫なの? というベテラン指導者たちの訝しげな視線を受けながらも、謙虚に頭を下げるしかなかった。
前田康弘
「今の子は新しいもの好き。優勝したチームに行きたがらないんですよ。というのも一度頂点に立ってしまえば、今度は連覇をかけて戦わなければいけない。むしろ追われる側よりも追う側を好むんです。まだ優勝してないチームを自分たちで優勝させる、そこに面白みを感じるようです」。
だからこそ箱根駅伝の連覇は難しく、次から次に強豪校は入れ替わるというドラマが起こる。この10年で生徒たちも、その指導法も大きく変わった。その難しさを痛感しつつも、選手時代から結果を残してきた、いわば陸上エリートである前田さんがなぜ“雑草”なのか。陸上競技にかけた人生を振り返ってもらった。


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