2019.12.07
HEALTH

パンプアップ効果が4倍に! 乳酸がグングン溜まる“低酸素プッシュアップ”

連載「ジタンコウフカのススメ」
「忙しくて時間がない」「ジムトレもそろそろダレてきた」という男性諸君、ちょっぴりキツいけどサクッと終わるトレーニングはいかがだろう。キーワードは「ジタンコウフカ(時短高負荷)」。呪文のようだが、そこには科学の力を借りて効率よく体を変えるヒミツが隠れている。サッカーやラグビーの日本代表選手も通いつめる高地トレーニング施設のトレーナーに、理論と実践法を教わっていこう。

ハイアルチ

最高のパフォーマンスを目指すアスリートから、理想の体づくりに勤しむビジネスマンたちまでが実践する、今注目の「高地(低酸素)トレーニング」

実際に高地へ行かずとも、街中で体験できる高地トレーニグスタジオ「ハイアルチ」のプロデューサー兼フィジカルコーチの新田幸一さんに、前回に引き続き、超時短&高効率トレーニングをレクチャーしてもらう。

今回のテーマは、筋肉のBIG3とも称される、「三角筋」「二の腕の筋肉」「上腕三頭筋」を集中的に鍛えるプッシュアップ(腕立て伏せ)だ。ただし、普通のプッシュアップとはひと味違う。筋肉内に乳酸がぐんぐん溜まるのを感じられる、“ジタンコウフカ“筋トレだ。

【教えてくれる人】新田幸一さん
新田幸一さん

高地トレーニングを街中で体験できるスタジオ「ハイアルチ」の開発者であり、プロデューサー。長年のトップアスリートたちへの指導経験を活かし、高地トレーニングの効果を最大限に引き上げるメニューを構築。現在は、浦和レッズの槙野智章選手をはじめとしたトップアスリートのほか、大学駅伝の選手たちのトレーナーも務めている。

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低酸素下で速筋にガンガン負荷をかける

「筋肉は飾りではない。まずはインナーマッスルを鍛えるべし!」などと言われる昨今。しかし、これでもかとヒーヒーいってキツい筋トレをした挙句、体の奥深くに潜む、決して外からでは見ることのできない筋肉しか鍛えられないなんて、なんだかもの足りない!

どうせなら、パンプアップ(筋肥大)した筋肉を“見せびらかしたい”というのが、世の40代男性たちの本音だろう。なんだかんだ言っても筋肉は男のアクセサリー、なのだから……。

とはいえ、筋肉をパンプアップさせるほどの筋トレは、そう易々とできるものではない。おそらく、1日100回のプッシュアップやシットアップ(腹筋)をしても、女性からワーキャー言われるほどに仕上げるには、気が遠くなるほど長い時間をかけなくてはならない。

ところが、その長〜い道のりをショートカットできる術がある。それが、高地(低酸素)トレーニングだ。では、なぜ時短でそんなことができるのか?

ハイアルチ

低酸素環境下で筋肉に負荷をかけると、筋肉が酸欠状態になります。筋肉が酸素不足に陥ると、速筋という筋肉が優先的に使われるようになるんです。もうひとつの遅筋と呼ばれる筋肉を稼働させるには、酸素が必要なので、低酸素下では必然的に速筋が稼働する、というわけです。つまり低酸素環境下で筋トレを行うと、速筋に集中的に負荷をかけられるので、筋肉を効率よくパンプアップさせられるんです」と新田さん。

筋肉はタイプⅠと呼ばれる「遅筋(赤筋)」と、タイプⅡと呼ばれる「速筋(白筋)」とに分類される。遅筋は筋線維が細めで持久力があり、柔軟性がある。ただし、パンプアップしづらい。いっぽうの速筋は筋線維が太く、瞬間的に大きなパワーを発揮できるうえに、パンプアップしやすい筋肉なのだ。

つまり、パンプアップを目指すには、速筋に刺激を与えるほうが効率的ということになる。

「あ、それだけじゃないんです。酸欠状態で筋トレをすると、乳酸がハンパじゃないスピードでガンガン溜まっていきます。乳酸が溜まると成長ホルモンという筋肉を合成する働きをもつ物質もガンガン分泌される。その結果、筋肉がデカくなる! まあ、低酸素環境下では、通常の環境下で2時間かかるトレーニングを30分で済ますことができるので、単純計算すると、4倍のスピードで乳酸が溜まり、成長ホルモンを容易に分泌させられるということです」(新田)。

ちなみに、成長ホルモンが不足すると、コレステロールや中性脂肪などの脂質の代謝系に異常が発生し、体脂肪が蓄積しやすくなる。つまり、成長ホルモンの分泌を促す筋トレは、「メタボおやじ化」も防いでくれる一石二鳥のトレーニングということだ。善は急げ! ここで紹介する超時短&高負荷「プッシュアップ」に、今日からさっそく取り組んでほしい。

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通常の4倍のスピードで乳酸を溜める“低酸素プッシュアップ”

「ただの“腕立て”でしょ」と侮るなかれ。実はかなりハードルの高いメニューだ。しかし、それだけに乳酸の溜まり具合はハンパじゃない。さらに、低酸素下で行えば、通常の4倍もの効果が得られるのだから張り切って取り組んでほしい。では、新田幸一オリジナル、超時短プッシュアップを紹介しよう。

前回のスクワットと同じ原理で、稼働範囲は小さくてもいいから、そのぶんすべての動作をできるだけ素早く行うことが効果を倍増させるポイント。リズミカルかつスピーディに、筋肉にガンガン負荷をかけていきましょう。いつもやっている普通のプッシュアップよりもキツいけど、もちろん筋トレ効果は高いですよ。ええ、かなりキツいですけどね(笑)」。

プッシュアップ
プッシュアップのスタートポジション。

①フルプッシュアップ
プッシュアップ

肩幅より少し広めに両腕を広げ、肘をまっすぐに伸ばして、つま先を立てて四つん這いになる。少しお尻を突き出し、肩からお尻までがまっすぐな状態でスタンバイ。その状態のまま、体と床と平行になるくらいまで肘をゆっくりと曲げていく。この動きを素早く反復。慣れてきたら、胸が床につくくらいまで、さらに深く肘を曲げていこう。

②ハーフダウンボトムプッシュアップ
プッシュアップ

肩幅より少し広めに両腕を広げ、ヒジが90°になるくらいまで曲げていく。ここがスタートポジションとなる。そこからさらに胸が床につくくらいまでヒジを曲げていく。この動きを素早く反復する。

③ハーフアップボトムプッシュアップ
プッシュアップ

肩幅より少し広めに両腕を広げ、ヒジが90°になるくらいまで曲げていく。ここがスタートポジションとなる。そこからヒジがまっすぐになるまで上体を持ち上げていく。この動きを素早く反復する。

【プッシュアップメニュー】
①フル5回+②ハーフダウンボトム5回+③ハーフアップボトム5回

→①フル4回+②ハーフダウンボトム4回+③ハーフアップボトム4回
→①フル3回+②ハーフダウンボトム3回+③ハーフアップボトム3回
→①フル2回+②ハーフダウンボトム2回+③ハーフアップボトム2回
→①フル1回+②ハーフダウンボトム1回+③ハーフアップボトム1回

【ポイント】
一つひとつの動作をできるだけ素早く行うこと。慣れてきたらスタートの回数を最大10回まで増やしていくと筋トレ効果は倍増していく。はじめのうちは膝を床につけても良い。なおプッシュアップバーという専用器具を使うとやりやすいが、なければ直接床に手をついても問題ない。

2分以内ですべてのメニューをクリアすることを目標に。慣れてきたら、スピードアップを! 1分以内の完遂を目指そう。はじめのうちは、各3回ずつからのメニューからスタートしてもOKだ。

次回はモテ筋のシンボル、“腹筋”を鍛える低酸素シットアップメニューを紹介。時短高負荷で腹を割る極意とは?

【取材協力】
ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00〜22:00(平日)、10:00〜19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/

空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。

楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真

# ハイアルチ# プッシュアップ# 低酸素トレーニング# 時短高負荷# 高地トレーニング
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