低酸素下で速筋にガンガン負荷をかける
「筋肉は飾りではない。まずはインナーマッスルを鍛えるべし!」などと言われる昨今。しかし、これでもかとヒーヒーいってキツい筋トレをした挙句、体の奥深くに潜む、決して外からでは見ることのできない筋肉しか鍛えられないなんて、なんだかもの足りない!
どうせなら、パンプアップ(筋肥大)した筋肉を“見せびらかしたい”というのが、世の40代男性たちの本音だろう。なんだかんだ言っても筋肉は男のアクセサリー、なのだから……。
とはいえ、筋肉をパンプアップさせるほどの筋トレは、そう易々とできるものではない。おそらく、1日100回のプッシュアップやシットアップ(腹筋)をしても、女性からワーキャー言われるほどに仕上げるには、気が遠くなるほど長い時間をかけなくてはならない。
ところが、その長〜い道のりをショートカットできる術がある。それが、高地(低酸素)トレーニングだ。では、なぜ時短でそんなことができるのか?
「
低酸素環境下で筋肉に負荷をかけると、筋肉が酸欠状態になります。筋肉が酸素不足に陥ると、
速筋という筋肉が優先的に使われるようになるんです。もうひとつの
遅筋と呼ばれる筋肉を稼働させるには、酸素が必要なので、低酸素下では必然的に速筋が稼働する、というわけです。つまり
低酸素環境下で筋トレを行うと、速筋に集中的に負荷をかけられるので、筋肉を効率よくパンプアップさせられるんです」と新田さん。
筋肉はタイプⅠと呼ばれる
「遅筋(赤筋)」と、タイプⅡと呼ばれる
「速筋(白筋)」とに分類される。
遅筋は筋線維が細めで持久力があり、柔軟性がある。ただし、パンプアップしづらい。いっぽうの
速筋は筋線維が太く、瞬間的に大きなパワーを発揮できるうえに、パンプアップしやすい筋肉なのだ。
つまり、パンプアップを目指すには、速筋に刺激を与えるほうが効率的ということになる。
「あ、それだけじゃないんです。酸欠状態で筋トレをすると、乳酸がハンパじゃないスピードでガンガン溜まっていきます。乳酸が溜まると成長ホルモンという筋肉を合成する働きをもつ物質もガンガン分泌される。その結果、筋肉がデカくなる! まあ、
低酸素環境下では、通常の環境下で2時間かかるトレーニングを30分で済ますことができるので、単純計算すると、4倍のスピードで乳酸が溜まり、成長ホルモンを容易に分泌させられるということです」(新田)。
ちなみに、成長ホルモンが不足すると、コレステロールや中性脂肪などの脂質の代謝系に異常が発生し、体脂肪が蓄積しやすくなる。つまり、成長ホルモンの分泌を促す筋トレは、「メタボおやじ化」も防いでくれる一石二鳥のトレーニングということだ。善は急げ! ここで紹介する超時短&高負荷「プッシュアップ」に、今日からさっそく取り組んでほしい。
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