2019.11.09
LIFE STYLE

オールブラックスを率いた男、ダン・カーターの仕事論とリラックス方法

実は、前回大会で活躍したオールブラックスの元メンバーにして、世界的プレーヤーのダン・カーター(以下DC)が、名門神戸製鋼コベルコ・スティーラーズに在籍している。

日本代表の活躍だけでなく、名将エディ・ジョーンズ率いるイングランド代表、南ア代表のスプリングボクス、ニュージーランド代表のオールブラックスなど、世界の一流チームの迫力あるプレーを目の当たりにして、ラグビーの魅力を存分に堪能させてもらったおよそ1カ月半。

これから日本のトップリーグも注目したいところだが、実は、前回大会で活躍したオールブラックスの元メンバーにして、世界的プレーヤーのダン・カーターが、名門・神戸製鋼コベルコ・スティーラーズに在籍している。

サッカーならリオネル・メッシ、バスケならレブロン・ジェームズに匹敵するレジェンドプレーヤーだ。現在37歳のオーシャンズ世代にして現役続行中というだけでなく、昨年は、加入するなりチームをトップリーグ優勝に導いたうえに、自身はMVPを受賞。この結果を見てもスーパーぶりに驚くはずだ。

折しも同郷であるニュージーランドワインの名門「クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン」の誕生35周年パーティーに出席する彼に、その凄さの神髄に迫ってみた。

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やっぱりオールブラックスってすごいの?

倒されては起き上がり、また次のプレーへ。ラグビーというスポーツは、規律を重んじ、愚直なまでにそれ遂行していく。

7割5分を超える勝率を誇る常勝軍団オールブラックスとて、ことイングランド戦においては、その規律と自信が打ち砕かれて敗れ去ったように見受けた。

規律を遵守し遂行することは、たやすくないはず。オールブラックスの強さを肌身で知る男が、その強さの源泉を教えてくれた。

「勝利という同じ目的をもって戦うチームスポーツ。ラグビーに限らずですが、規律を乱せば目的は達成できませんよね。ビジネスでも同じではないですか? 一人で戦うのではないですから。

そのためにも、まず自分自身が規律を守り、常に100%の自分をオーガナイズして他者を助ける。これができれば、フィールドを離れたオフタイムでも規律を守れるでしょうし、自分を成長させられるのです」。

誰しもができるわけではないことを、さらりと言ってのけてしまうさすがの凄み。

「オールブラックスには、他者をしっかりと評価して意見を言える環境が整っています。後輩に対してだけでなく、キャプテンに対しても。同じ目標に向かう仲間だからこそ、相手を傷つけるためでも、責めるためでもなく、チームの利益のために意見するのです」。

同じ目的を持つ仲間だからこそ、規律を重んじて、忌憚なく意見を交わす。常勝を続ける秘訣のひとつといえそうだ。

「これって、ものすごいプレッシャーなんですよ(笑)。想像を絶します。特にニュージーランドでラグビーは国を挙げての人気スポーツ。国民全員の期待を一身に背負いますから。自国の誇りと歴史に敬意を払う。オールブラックスのメンバーはそのジャージーを脱ぐときに、そのジャージーを以前よりもより良い場所に置いてくる。そういう精神で戦っているのです」。

ダン・カーターにとってチームとは何だろう。

「僕にとってはチームがすべて。チームの良さがいちばん感じられる瞬間があります。試合直後のロッカールームで、チームメートと顔を見合わせたときのあの何とも言えない感覚。チームスポーツ独特の一体感もあります。たった一人ではなく、チーム一丸となれば立ち向かっていける、そういう強さが得られるのがラグビーの素晴らしさで、好きなところです」。

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ダン・カーター流、プレッシャーとの向き合い方

プレッシャーとの戦い。これは、オールブラックスほどのものでなくとも、誰しもがどこかで何かに感じているものだ。彼流のプレッシャー対処法を聞いてみた。

「向き合い方は2つしかありません。それを避けて通る人生か、それを受け入れてチャレンジする人生か。私は常に後者を選択しているだけです。

失敗を恐れたり、失敗の経験を引きずったりしていては、絶対にいい結果は得られません。そのためには、“今、目の前”にあることにいかに集中できるか。僕はキッカーなので、プレースキックを蹴るときも、過去の失敗や不安を取り除き、今できることに最大限集中します。

このプレッシャーに打ち勝って得られたことが、次のプレッシャーに立ち向かうためのモチベーションになるんです」。

なるほど、プレッシャーに打ち勝つ成功のサイクルを見出しているのだ。在籍し続けることさえ難しいオールブラックスにおいて、彼は、2003年から2015年までの12年間も中心選手であり続けられたのも頷ける。そのために努力してきたことがあるという。

「昨日より今日が良くなるように、プロになってからずっとノートをつけています。目標を明確にして、トレーニングを積む。たとえ道から外れても戻ることができる道しるべになりますね。

どの分野でも成功者というのは、常にプレッシャーに向き合い、それに打ち勝っている人。僕は、自分の人生において、これほどのプレッシャーが与えられていることに感謝し、光栄に思っています」。

まるで完璧な人間に見えるダン・カーターだが、失敗することはないのだろうか。

「いっぱいありますよ(笑)。とあるパーティに招待されて出席したときに、妻とフォトセッションに登壇したんです。翌日、それを報じた写真を見て愕然。“なんてこった!”って。歯にコリアンダーが挟まってたんです(涙)。ネットで探し出さないでくださいね(笑)。

フランス大会の準決勝では、キッキングティー(プレースキックでボールを乗せる台)をホテルの部屋に忘れてしまったことも。キッカーは自分用にカスタマイズをするほど大事なものなのに! ああ、僕の人生で恥ずかしい二大エピソードを話してしまった(笑)」。

みなさん、歯にコリアンダーの挟まった彼の写真は検索しないでくださいね。

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一流の男は、リラックスタイムの過ごし方もうまかった

プレッシャーの連続で日々を送るダン・カーターのリラックスタイムを聞いてみた。

「どんな人間でも365日24時間、集中し続けることは不可能。やっぱり集中したら、リラックスが大事です。そのバランスも大事ですね」。

写真からも伝わると思うが、グッドルッキングであり、ファッショナブルでもあるダン・カーター。実際に、某ブランドともタッグを組むほどファッションは大好きだそう。日本でもショッピングを楽しんでいるという。

「もちろんお酒も好きですよ。かつてはメルボルンでブルワリーを営み、ビール作りをしていたこともあるんですよ。仲間はよくハイボールを飲んでいますが、僕が食事のときに欠かせないのはワインです」。

今年35周年を迎えた「クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン」は、大のお気に入り。

今年35周年を迎えた「クラウディーベイ ソーヴィニヨン ブラン」は、大のお気に入り。
ニュージーランド発のワイナリー・ブランド「クラウディー ベイ」。ワイナリー初のソーヴィニヨン ブランのヴィンテージ発売をもって、1985年に創業。以来、高いクオリティのワインを供給し、世界中にファンを持つ名門として知られる。ダン・カーターさんはなかでも「ソーヴィニヨン ブラン」がお気に入りで、「こいつをよく冷やして飲む一杯は格別」とコメント。「クラウディー ベイ ソーヴィニヨン ブラン 2019」750ml 3750円(希望小売価格)

「オールブラックスや神戸製鋼のような、ニュージーランド・ワインの名門です(笑)。世界のどこに行っても楽しめる地元の誇り。フルーティーでキリッとした辛口は、ソーヴィニヨン種のいい特徴を表現しています。キンキンに冷やしたコイツを、夏の夕暮れにホームパーティしながら飲むのが最高!」。

一流の男は、リラックスタイムの過ごし方も、きちんと心得ているようだ。

ダン・カーター●ワールドラグビーの年間最優秀プレーヤーに選出。オールブラックス時代には、通算1598点というテストマッチ個人通算得点の世界記録をマークした。
Dan Carter(ダン・カーター)●1982年ニュージーランド、サウス・ブリッジ生まれ。2005年、2012年、2015年の三度にわたり、ワールドラグビーの年間最優秀プレーヤーに選出。オールブラックス時代には、通算1598点というテストマッチ個人通算得点の世界記録をマークした。奥様と男子三人を家族に持つ、よきオトーチャンでもある。

[クラウディー ベイ公式サイト]
www.mhdkk.com/cloudy_bay/sp

 

髙村将司=取材・文

# オールブラックス# ダン・カーター# ラグビー
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